先を見据えて学びに貪欲に。知識はエンジニアとしての自信と新たなキャリアにつながる――シェフラージャパン 金子和晃氏

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ドイツに本社をおくシェフラーは、ベアリング技術を核に成長してきたグローバル企業。その売上の約8割を自動車関連事業が占める。日本の拠点であるシェフラージャパンの自動車事業部 シャシーディビジョン シャシーアクチュエーター部でアプリケーションエンジニアを務める金子和晃氏は、顧客である日本の自動車メーカーとドイツをはじめとする海外の開発部隊とを繋ぎ、自動車メーカーにとって価値ある製品を開発するために重要な役割を果たしている。現在の仕事のやりがいや、今後の目標を語っていただいた。(執筆:杉本恭子、撮影:水戸秀一)

――大学では知能機械工学専攻だったそうですね。なぜその学科に進んだのですか。

知能機械工学はロボット工学のような学科で、材料力学や熱力学などの機械工学と、制御や電子工学、プログラミングを合わせたメカトロニクスを学べる学科でした。

3つ年上の兄が、よくキットの電子工作をしていて、リモコンで動くようなものとか、お風呂の水位センサーとか、いろいろなものを作っているのを見ていたので、子どもの頃からものづくりに触れる機会は多かったです。兄が機械系の学科に進んだこともあり、進路を決めるときは、私も機械系の学科に進もうと思っていました。

――大学院の専攻は応用物理学で、まったく違う分野ですね。

はい。応用物理学のナノテクノロジーといわれる分野で、量子力学をベースに物性物理学などを学ぶ学科です。

分野を変えようと思った理由は、学びに集中できる学生のうちに幅広い知識を身につけたかったからです。特に、量子力学の数学的思考を身につけたいと思っていて、高校生の頃から比較的簡単な専門書を読んでいました。大学時代も自分の専攻ではありませんでしたが、時々量子力学の講義を聴きに行ったりしていて、常に心の中にあるテーマでした。

日本のお客様と海外開発部隊の間をハンドリングする仕事

高校3年間は軟式野球部に所属していたという金子氏。今は観戦のみで、基本はインドア派

――シェフラージャパンは3社目とのことですが、新卒で入社された際のお仕事は何でしたか。

学生の頃から技術開発にかかわる仕事をしたいと思っていたので、電気部品のコネクタを開発している会社に就職し、主に機械設計を担当しました。

就職を決める時点では、正直なところ自分に何が向いているのかわかりませんでした。機械設計を経験してみて、学生時代に機械工学と電子工学の両方を学んでいたこともあり、制御設計、プログラミングも経験してみたいと思うようになり、自動車の開発者向け支援ツールの開発会社に転職しました。そこでは、「MATLAB」を使った、計測データを可視化して、分析、最適化できるシミュレーションツールのコーディングを経験しました。

――では、シェフラージャパンに転職した理由は。

一番大きな理由は英語ですね。学生の頃から英語を活かせる仕事をしたいと思っていたので、エンジニアとしての実務経験の両方が活かせる、外資系の会社を選びました。

英語は大学生の頃から、英会話スクールに6年通ったり、短期留学をしたりして勉強していました。実務的な英語力は、この会社で仕事をしながら上達してきたと思います。

――現在はどのような仕事をしていますか。

アプリケーションエンジニアとして、お客様との先行開発や海外拠点との技術的なやりとり、開発日程のハンドリング、お客様への技術プレゼンなどを行っています。担当している製品は電動アクティブロールスタビライザーや電動車高調整アクチュエータです。

電動アクティブロールスタビライザー

当社は本社のあるドイツに開発部隊を持っています。たとえば当社の新しいアクチュエータを日系の自動車メーカーと開発する際、技術のことを理解していて、お客様の要求や仕様を本国の開発部隊にわかるようにとりまとめられる人が必要です。それが私の役割で、お客様と開発部隊の間に立って、技術仕様の摺合せや納期の調整・管理をしています。

また営業担当に同行して、お客様先で製品の特長、仕組みなどを紹介するのもアプリケーションエンジニアの仕事です。

グローバルなチームで成果を出すやりがい

自動車業界の仕事をしているものの、車の運転はちょっと苦手。ペーパードライバーだとか

――どのようなところにやりがいを感じていますか。

子どもの頃から興味があった制御やソフトウェアにたずさわれること、大学での専攻分野や、英語という自分の得意なことを活かせることがやりがいですね。

それから、本国の設計エンジニアやテストエンジニア、工場の担当者、また日本側の営業と一緒に、グローバルなチームで仕事をすることです。文化の違いなど難しいことも多い反面、それを乗り越えて成果を出すことにやりがいを感じます。自動車業界の実務レベルの英語を使い、時間が限られていてミスも許されない中で、海外エンジニアとの間をハンドリングするスキルは、今の仕事だからこそ身についたと思います。

またドイツの自動車メーカーに提供しているような先端技術を、日本のお客様にも提供できることが当社の価値だと思いますし、そこで仕事ができることもやりがいですね。

――どのようなエンジニアが理想だと思いますか。

以前購読した書籍で、エンジニアが技術的にすごく価値があると思って実装しても、使う立場のお客様にとってはあまり重要ではなかったというような話を読み、ハッと気付かされたことがあります。技術的に優れているだけでなく、お客様の目線でも考えられるエンジニアが理想だと思っていますし、私もそうなりたいと思います。

――では、エンジ二アに必要なスキルは。

物理を理解していることは結構大事かなと感じています。実際には機械、電子、半導体、制御工学などが使われるのですが、それらのベースとなるのは全部物理学なので、高校で習う内容の物理だけでも理解していると、ものづくりに役立つと思います。たとえば制御系の設計では最初に制御対象の運動方程式を立てますが、物理法則をよく理解していることでスムーズにモデリングをすることが出来ます。

これから来そうなテーマを予想して勉強する

子どもの頃に興味を持った電子工作は、今でも趣味のひとつ。最近ではRaspberry PiやArduinoを使ってIoTデバイスなどを作っている

――今後どのようなことに取り組んでいきたいですか。

アプリケーションエンジニアとして仕事をする中で、お客様のニーズや開発プロセスなど、お客様目線についてはある程度理解できていると思います。今後はもう一度技術面、特に制御系のロジック開発などを深掘りして、設計・開発エンジニアとしても成長したいと考えています。

最近では機械学習やディープラーニングについても自分で勉強しているのですが、それも何かしら仕事に活かせたらうれしいなと思っています。自動車メーカーでは自動運転などに活用していますが、当社の製品でも、たとえばベアリングにセンサーを取り付けて、温度や湿度、摩耗状態などから故障を予測する……なんていうことができたらいいですね。

――英語や機械学習など、自分でテーマを見つけて勉強していますよね。どういう基準でテーマを選んでいるのですか。

この先必要になりそうかどうかという軸で選んで、予習しています。学生時代に英語を勉強したのも、いずれ必要になると思ったからです。機械学習やディープラーニングも仕事で役立つ時が来るだろうと思っています。

書店やインターネットなどで本を見ていると、これから来そうなテーマは頻繁に新しい本が出版されるので何となくわかります。まずはそういう本を読んでみたりするのはお勧めです。

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