自動車や飛行機のボディを電池に変える――「二刀流」カーボンファイバーの可能性

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「二刀流」カーボンファイバーは、荷重を支える部材であり、またバッテリー電極でもある。

スウェーデンのチャルマース工科大学の研究チームが、カーボンファイバー(CF:Carbon Fiber)を自動車のボディ素材として使用し、かつリチウムイオン電池のバッテリー電極として活用する研究を明らかにした。CFを構造用複合材料として利用するのみならず、リチウムイオン電池の炭素電極として「二刀流」で活用することで、自動車や航空機の電動化における最重要課題のひとつである軽量化が達成できると期待している。研究成果は、2018年8月28日の『Multifunctional Materials』誌に公開されている。

CFは、低比重でありながら鋼を大幅に超える強度と剛性を持つことから、軽量化を目的とした複合材料として航空機やスポーツカーなどの構造部材に用いられている。一方、同じ炭素材料であるグラファイトは、リチウムイオン電池の安全な負極材料として使用されている。

材料計算科学工学科のLeif Asp教授が指導する研究チームは、構造材料としても充分な機械的性質を持ち、また、リチウムイオン電池の負極材料としても充分な電気化学特性を有するCFを調査した。その結果、規則性の劣る小さい結晶から成るCFは優れた電気化学的特性を示すが、相対的に剛性が低い。一方、規則性の高い大きい結晶から成るCFは高い剛性を持つが、電気化学的特性がバッテリーには適していないことを見出した。

ここで低剛性だとするCFでも、一般的な構造用鋼よりは高い剛性を示しているという。「商用化されている多くのCFは航空機用途で、非常に高い剛性を持つように設計されている。一般的な自動車用途であればそこまでの剛性は必要なく、この程度の剛性の低下は問題ではない」と、Asp教授。「CFを使った自動車ボディは、構造部材としてだけでなく、高いエネルギー貯蔵能力を持つバッテリーとしても利用できる。またCFは、エネルギーとデータのセンサーや伝達など、他の目的にも活用できる。自動車ボディが多機能を有するようになれば、車両重量を最大50%削減できる」と、その可能性を説明する。

研究チームは、自動車および航空機産業と共同研究を行っている。「重要なのは、重量や強度、剛性、電気化学的特性という視点から、輸送機械をシステム全体として最適化することだ。ボディ構造と両用するバッテリーは、従来のバッテリーほど効率的ではないかも知れないが、システム全体では非常に大きなメリットがある。加えて、エネルギー密度が低く、危険な物質を内蔵しないことで、従来のバッテリーよりも安全だとも言える」と、その将来性を期待している。

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