クラレ、耐熱性を15℃向上させたメタクリル樹脂「パラペットSP」を開発――透明性、成形性などはそのままに

「パラペットSP」分子構造の模式図

クラレは2018年11月12日、従来の特性をそのまま維持した上で、耐熱性を向上させたメタクリル樹脂「パラペットSP」を開発したと発表した。

メタクリル樹脂(PMMA)は透明性や耐候性に優れているため、自動車や液晶ディスプレイ部材、建築部材、雑貨など幅広い用途に利用されている。近年それらの特性に加えて、耐熱性向上の要求が高まったことから、パラペットSPを開発したという。

従来、PMMAの耐熱性を高めるためには、耐熱性の高いモノマーの共重合やポリマー鎖に環状構造を導入するのが一般的だ。しかしこの方法では剛直性が高くなり、もろくて割れやすいという課題があった。

今回クラレでは、PMMAの高次構造に着目して、これを制御する重合技術を開発。ポリマー中のモノマーユニットが交互となるシンジオタクティシティを高めることで、高い耐熱性を発現させることに成功した。

今回開発した製品は、PMMAが従来から有する力学特性、光学特性、耐候性を保持したまま、一般的なPMMAよりも約15℃高い約130℃のガラス転移温度を持つ。さらに表面硬度の向上や、他の一部樹脂との良好な相溶性も確認されており、発色性改善などの樹脂改質剤としての効果も期待されるという。

パラペットSPは、より高い耐熱性が要求される自動車や光学用途、他樹脂とのブレンドによる樹脂改質剤、フィルム原料や表面コーティング剤などへの活用が見込まれるという。

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