東大、合成プラスチックを越える高耐熱性樹脂を虫歯菌の酵素から開発

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東京大学は2016年7月29日、ポリエチレンテレフタレートやナイロンを越える高耐熱性樹脂を虫歯菌の酵素から開発したと発表した。

東京大学らの研究グループは今回、虫歯菌が合成する歯垢(バイオフィルム)が多糖類であることに着目。虫歯菌が歯垢を作る時の酵素を利用し、完全直鎖状の高分子多糖類「α−1,3−グルカン(ポリマー)」を試験管内で酵素重合する実験に成功した。

また、α−1,3−グルカンの分子構造中に存在する3つの水酸基(OH基)をエステル基に置換(誘導体化)した「α−1,3−グルカンエステル誘導体」が、代表的な石油合成プラスチックよりも耐熱性に優れることも明らかにした。

ポリエチレンの融点が120℃、ポリプロピレンの融点が175℃、ナイロン−6の融点が225℃、ポリエチレンテレフタレートの融点が270℃である一方、α−1,3−グルカンエステル誘導体の融点は約300~340℃だという。

α−1,3−グルカン自体には熱可塑性がないが、α−1,3−グルカンエステル誘導体は熱可塑性がある。また、α−1,3−グルカンエステル誘導体で成型したフィルムの破壊強度は40MPaを超える。そのため、α−1,3−グルカンはエンジニアリングプラスチックとしての利用が期待されている。

なお今回の研究では、試験管内重合において反応温度を15℃にまで下げることで、70万を超える巨大なポリマーを生合成することにも成功。合成したα−1,3−グルカンはもともと口腔内で合成されるバイオフィルムであるため、経口可能な素材としての利用も期待できるという。

研究グループは今後、高分子量ポリマーの大量合成法の確立、α−1,3−グルカン自体の経口可能な素材・医療材料などへの用途開発、誘導体を用いた高強度・高耐熱性など優れた性能を持つ射出成型品の開発を行う予定としている。

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