冨士色素、イオン液体の研究開発や製造を開始——用途はアルミニウム空気電池の二次電池化など

冨士色素は2016年9月2日、イオン液体の研究開発、合成、製造を開始したと発表した。イオン液体の主な用途には、アルミニウム空気電池の二次電池化などを想定している。

イオン液体は、イミダゾリウムイオンやピリジニウムイオンなどの有機カチオンと、臭化物、フッ化物、塩化物などのアニオンから成り、比較的低温で液体状態となる塩だ。カチオンとアニオンの組み合わせ次第でさまざまな物質・物性を生み出せるため、「デザイナーソルベント」と呼ばれている。

このイオン液体は、広い温度範囲で液体となるため、高温および低温領域において使用可能。また、熱的、化学的、電気化学的にも安定しているため、真空下などの過酷な環境下での使用も可能だ。さらに、難燃性材料であり、電気が流れる導電性液体のため、電気化学デバイスや帯電防止用途でも応用が期待できる。しかも、セルロースなどの難溶性物質も溶解可能だ。

冨士色素は、以上の特徴を持つイオン液体を、アルミニウム空気電池の二次電池化、セルロースナノファイバーの溶解、リチウムイオン電池の電解液、カーボンナノチューブ分散体、カーボンナノチューブゲルに、帯電防止剤、電解液、湿潤剤、色材インクの添加剤などへ使用することを検討している。

同社ではイオン液体の合成材料として、カチオンにイミダゾリウム系などを用い、一方でアニオンに塩素や臭素系イオンを用いている。また、イオン液体の受託合成も始めているという。合成材料の種類については、今後さらに増やしていく予定だ。

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