EVなどのエネルギー貯蔵用高分子誘電体材料――現行素材より数倍高いエネルギー密度に

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ペンシルベニア州立大学の研究チームは、高いエネルギー密度や電力密度、優れた充放電効率を兼ね備え、エネルギー貯蔵デバイスであるコンデンサ用材料として電気自動車(EV)やハイブリッド車に適した高分子誘電体材料を開発した。

同材料の鍵となるのは、「SSN-x」と呼ばれる独自の3次元サンドイッチ状構造だ。SSN-xは、高分子/セラミック複合材料内の高密度な電場を絶縁破壊から保護する。研究の詳細は、『Proceedings of the National Academy of Sciences』に8月22日からオンライン公開されている。

「高分子化合物は軽量性、スケーラビリティおよび高い誘電強度があるため、輸送機器のエネルギー貯蔵デバイスに理想的だ」と、研究チームのリーダーであるQing Wang教授は語る。

だが、同教授は「ハイブリッド車や電気自動車に現在使用されている2軸延伸ポリプロピレン(BOPP)は、相応の冷却装置がなければ高い運転温度に耐えられない。このため、自動車に重量と費用がかかる」と指摘する。

BOPPなどの通常の2軸高分子フィルムは、比誘電率や電場強度を増加させると、安定性や充放電効率が犠牲になる。電場が高くなればなるほど、熱という形でより多くのエネルギーが失われる。

研究チームは実際にさまざまな高分子をテストしてみた。その結果、たとえ電力密度を増加できても、高温になると電子が電極から飛び出す放電が起こり、高分子フィルムが絶縁破壊することが判明したという。

「そこで、我々は新しいサンドイッチ構造を開発した。」とWang教授。「電極からの放電を防止する絶縁層を最上層および最下層に配置する。その結果、高比誘電率のセラミックと高分子からなる複合材料を中心層に置くことができ、エネルギー密度および電力密度が向上する」と説明する。

絶縁層は、高分子マトリクス中の窒化ホウ素ナノシートで構成される優れた絶縁体。一方、中心層はチタン酸バリウムという高比誘電率の材料だ。「この材料を高温で24時間連続で、材料劣化させずに3万サイクル以上使用できることを実証した。」と、Wang教授はSSN-xの効果について語った。

SSN-xは150℃において、従来のBOPPの通常運転温度70℃における充放電エネルギーと、基本的に同様の充放電エネルギーを示す。それにも関わらず、SSN-xはBOPPに比べて数倍高いエネルギー密度を持つ。

そのため、SSN-xはデバイスの性能や安定性を向上させるだけでなく、デバイスサイズや重量を著しく減らせる。また、BOPPに必要とされる大型で高価な冷却装置が不要という利点もある。

「我々の次のステップは、材料を合理的なコストで大規模に生産することができるかを検討すること。企業との共同研究も視野に入れている」とWang氏は述べている。

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