固体物質を液体のように働かせる新手法——電池のさらなる難燃化や小型化へ

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セントラルフロリダ大学の2人の科学者が、固体物質を実際に液化せずに液体のように働かせる方法を発見した。この研究の成果は、『Journal of the American Chemical Society』で7月14日に発表されている。

この研究では、ナノサイズの細孔を有する共有結合性有機構造体COF(Covalent Organic Frameworks)を用いている。COFはナノスポンジ状の不燃性人工材料。COFのような多孔性有機構造体は、ガスを細孔に分離貯蔵/濃縮できるなど、細孔にいろいろな機能を持たせられるため、近年大きな注目を集めている。

化学専攻の大学院生であるDemetrius A. Vazquez-Molina氏は、COFを小指の爪ほどの大きさのペレット状に圧縮し、そのX線回析図形を調べたところ、物質の内部結晶構造が奇妙なパターンで配列していることに気付いた。

同氏は担当のFernando Uribe-Romo教授に指導され、詳細なX線解析を再度実施。その結果、物質内の結晶構造が、注入されているリチウムイオンがまるで液体の中のように容易に移動できる構造と一致するパターンになっていることを明らかにした。

電子技術やその他のエネルギー用途に、既存の液体材料を使用すると、時に問題が生じる。例えばリチウムイオン電池は、電池の片側から他方の側にリチウムイオンを移動させるために液体を使用しなければならないので、大きくてかさばる。

さらに、電力を貯蔵/供給する過程で熱が発生しやすいため、結果として携帯電話の爆発やホバーボードの炎上を起こすことがある。実際に数年前、いくつかの機能をリチウムイオン電池に頼っていた航空機を飛行禁止に追い込んだ。

「可燃性液体の代わりに、非毒性の固体物質COFを使用できるとすれば、世界は一変するだろう」とUribe-Romo教授は語る。「もし液体の必要性を排除し、不燃性の固体物質を使えるなら、スペースやパッケージングの必要性がより低くなり、電池の軽量化や小型化がさらに進む」

非毒性と不燃性を兼ね備えた少量固体物質は、電子機器の小型化だけでなく、光ファイバーを利用した情報伝達速度の向上にもつながる。この物質が実現した暁には、通信機器、計算能力、エネルギー貯蔵に対して革新的なインパクトを与えるに違いない。

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