DNA折り紙によって分子・原子レベルの回路作成も可能に?――DNA基のナノワイヤ、導電性を獲得

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ドイツ研究センター・ヘルムホルツ協会の科学者たちが、折り紙アートの技術を応用してDNA基のナノワイヤを作り、その表面に金メッキしたナノ粒子を化学結合させて電流を流すことに成功した。この技術を発展させると、現状よりもはるかに微細なコンピュータチップを開発できる可能性があるという。

近年、日本が誇るアート“折り紙”の技術を利用し、DNA鎖を折り曲げ、ナノスケールの構造体を自由に作り上げる“DNA折り紙”が注目されている。2006年にアメリカで発表されて以来、同技術を生かしたナノサイズのスマイルマークや世界地図などが報告された。

DNAは、決まった相手とだけ二重らせん構造を組み、望みの機能を持ったナノ構造体を生み出せる。ヘルムホルツ協会ドレスデン−ローゼンドルフ研究所とパーダーボルン大学の研究チームは今回、長い一本鎖DNAに短いDNAセグメントを結合。そして、“自己組織化”という現象を利用し、安定な二本鎖DNAワイヤを形成させた。

研究チームのArtur Erbe博士によると、「産業界はこれまで、いわゆる“トップダウン”方式を採用してきた。この手法では、ベース材料の大きな部分を削り込んで望ましい構造を得る。しかし、果てしないミニチュア化にはいずれ限界が来る」という。この”DNA折り紙”が実用化されれば、“トップダウン”方式だった従来の電子部品製造プロセスが“ボトムアップ”方式となり、分子や原子で構成される極めて微細な回路の作成も可能になるかもしれない。

だが、Erbe博士は「DNAは、必ずしも電流を効率良く通さない」と説明する。そこで研究チームは、金メッキしたナノ粒子をDNAワイヤに化学結合させた。その結果、「DNAワイヤを通して電流が流れることが確認された」と語る。

研究チームが明らかにしたように、電流は確かに金メッキされたDNAワイヤを流れる。だが、電流量は周囲の温度に依存する。「温度が下がると、同時に電荷輸送も低減する」とErbe博士は指摘。導電性を改善するために、Erbe博士は金粒子間への導電性ポリマーの導入も考えている。

また、DNAワイヤと比べると電極のサイズは非常に大きくなる。DNAワイヤと電極をどう接続するかも、技術的に難しい課題になっている。そうした課題は残るものの、「われわれの研究はいまだ基礎研究段階であるが、将来DNA基の電子デバイスを作る可能性を示すことができた」とErbe博士は成果に満足している。

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