出力因子従来比約2倍のマンガンケイ化物系熱電変換材料、高温未利用熱エネルギーの活用へ

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東北大学は2016年12月1日、従来の約2倍に相当する2.4mW/K2mの出力因子(発電量を表す指標)を示す「マンガンケイ化物系熱電変換材料」を開発したと発表した。今回の研究成果は自動車エンジンや工業炉からの排熱など、300~700℃の未利用熱エネルギーを電力に変換する高出力熱電発電モジュールの開発へ応用できる可能性があるという。

高マンガンケイ化物(MnSi1.7)は、地殻表面に豊富に存在する元素から構成される物質だ。熱的・化学的安定性に優れるため、1970年代から熱電変換材料への応用が検討されてきた。しかし、通常の合金のように原料を高温で溶かして凝固させる手法で試料を合成すると、MnSi1.7とともにモノシリサイド相が析出し、導電性と機械的強度が悪化するという課題があった。

確かに、結晶構造中のケイ素(Si)をゲルマニウム(Ge)で1at%程度部分置換すると、モノシリサイド相の析出は抑制できる。だが、ケイ素とゲルマニウムが同族元素のため、Geによる部分置換ではホールキャリア濃度を大幅に増加できなかった。

そこで東北大学の研究グループは、結晶構造中のマンガン(Mn)をバナジウム(V)で1.5~3.0at%部分置換する手法を採用。同手法により、モノシリサイド相の析出の抑制とホールキャリア濃度の増大を同時に成功させた。
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さらに今回の研究では、部分置換でバナジウムと鉄(Fe)を併用。バナジウムの部分置換でモノシリサイド相を析出しホールキャリア濃度を増大させるとともに、鉄の部分置換でゼーベック係数を増加させた。これにより、これまで報告されているMnSi1.7材料の1.6~2倍に相当する2.4mW/K2mの出力因子を約530℃(800K)において示す材料の作製に成功したという。

なお、同温度域の熱電変換材料である鉛・テルル系の出力因子は300~600℃で2.0~2.5mW/K2m程度。今回の開発材料は、それに匹敵する性能を有する。
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今回開発したマンガンケイ化物系熱電変換材料はp型物質だが、研究チームは発電モジュールを試作するために、同等な性能のn型物質の合成にも取り組んでいるところだ。自動車エンジンや工業炉からの排熱を利用した高出力熱電発電モジュールの開発につなげ、未利用熱エネルギーの有効活用に資する材料の創製を目指すとしている。

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