有機ELでなくLCDで――超柔軟な液晶ディスプレイを東北大が研究

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東北大学の研究チームが、2枚の極薄プラスチック基板で液晶を挟み、高分子壁スペーサで接着する新技術を用いることで、超柔軟な液晶ディスプレイを製造しようと試みている。開発した液晶ディスプレイは携行性や可変性に優れ、近い将来、情報サービス分野で重宝される可能性がある。

柔軟なディスプレイを開発する試みとしては、プラスチック基板と有機ELを使う手法がこれまで有望視されてきた。だが、この手法には欠点がある。具体的に言うと、プラスチック基板は酸素や水蒸気へのバリア性が乏しいため、これらの気体によって有機ELが劣化してしまうのだ。さらに柔軟な有機ELを製造しようと思っても、大面積・高解像度のものを作り出すのは難しく、安価に量産する技術もいまだ確立していない状況だ。

こうした課題を克服するため、研究チームは有機ELではなく、既存の液晶ディスプレイを活用しようと考えた。剛直で重いガラス基板の代わりにプラスティック基板を用い、液晶ディスプレイの柔軟化を試みたのだ。

液晶材料は、バリア性の乏しいプラスチック基板であっても劣化しない。また、液晶ディスプレイは大型ディスプレイの製造方法も確立している。材料そのものが安価で大量生産可能な上、時間が経ってもほとんど品質は変わらない。有機ELの欠点を克服できる可能性がある。

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しかし、柔軟な液晶ディスプレイを製造するには、重要な問題が1つ残されていた。液晶デバイスを曲げると、液晶層を挟み込む100μm厚のプラスティック基板の間隔が不均一になり、ディスプレイに表示される画像が歪んでしまうのだ。

そこで、2枚の透明な約10μm厚の極薄ポリイミド基板を高分子壁スペーサで接着することにした。高分子壁スペーサは、分子配向性の高分子材料を液晶中に溶かし、紫外線パターンを露光することにより形成したもの。液晶配向を乱さずに2枚の基板間隔を一定に接合・保持できる。

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透明な極薄ポリイミド基板は、三井化学から供給されたポリイミド溶液を用い、塗布・剥離することで作り出した。耐熱性があり、微細な画素構造を形成できる。さらに、屈折率異方性が非常に小さく、広視野角と高コントラスト比を可能にする。

研究チームは、曲率半径3mmまでの巻上げテスト後も、スペーサを破壊することなくデバイスの均一性が保たれることを実証した。この手法によって、大面積で高画質、優れた動作安定性を持つ超柔軟な液晶ディスプレイを製造できるようになれば、携帯情報端末、ウェアラブルデバイス、車載ディスプレイや大型デジタル広告看板に応用できると期待されている。

今後、研究チームは画素構造の作り込みや、偏光フィルム等の周辺部品やバックライトの導光板も柔らかくすることを検討している。

関連リンク

Super-flexible liquid crystal device for bendable and rollable displays
藤掛・石鍋 研究室|東北大学 電気情報物理工学科

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