日本の伝統工芸を応用、ポリ乳酸繊維の圧電体を組紐状にしたウェアラブルセンサ

帝人と関西大学は2017年1月12日、伝統工芸「組紐」の技術を応用し、ポリ乳酸繊維を用いた圧電体を組紐状にしたウェアラブルセンサ「圧電組紐」を開発したと発表した。

圧電体は、圧力を加えると電気エネルギーを発生し、逆に電気エネルギーを加えると伸縮する物質の総称。帝人と関西大学は共同で圧電体関連技術の研究・開発に次々と取り組み、特に環境配慮型素材であるポリ乳酸を圧電体として適用する可能性を拡げてきた。

こうした中で、帝人と関西大学はこのたび日本の伝統工芸である組紐の技術を活用。これにより、1本の紐で「伸び縮み」「曲げ伸ばし」「ねじり」といった動きをセンシングできる組紐状ウェアラブルセンサ、圧電組紐を開発した。

この圧電組紐は、柔軟で屈曲性のある紐状のセンサであり、目的に応じてさまざまな太さ、長さ、形状に調節できる。また、低ノイズや高感度を実現したことに加え、はんだ付けなしで小型コネクタで容易に機器と接続できることから、一般産業用のセンサとして幅広い用途での使用が期待される。

さらに、この屈曲性のある組紐に古くから伝わる「結び」の手法を用いることで、ファッション性を加えることのみならず、より鋭敏に反応を示すセンサとしても使用できる。そのため、チョーカーなどの首飾りにして、脈波や嚥下、咳などを識別する生体センサとして活用することも可能だ。

今後は、関西大学と帝人が引き続き共同で要素技術の研究・開発を続け、帝人グループの帝人フロンティアが用途開発を推進していく。織り編み、刺繍、組紐など、従来のウェアラブルセンシングデバイスに欠けていた「ファッション性」や「着用感」などのニーズに対応し、ファッションスポーツアパレル、インテリア、ヘルスケアなどの用途を中心に幅広い展開を図っていくとしている。

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