- 2024-8-29
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- GPS, JILA, Jun Ye, アメリカ国立標準技術研究所(NIST), コロラド大学ボルダー校, マイクロ波, 一般相対性理論, 原子時計, 可視光線, 宇宙航行
アメリカ国立標準技術研究所(NIST)は2024年7月1日、これまでに作られた時計よりも高精度の原子時計を開発したと発表した。300億年で1秒しか遅れない可能性があるという。
この原子時計は、NISTとコロラド大学ボルダー校による共同研究機関である「JILA」の研究者たちが開発したものだ。これまでの原子時計はマイクロ波を原子に照射して秒を計測していたが、JILAが開発した原子時計は、より高い周波数を持つ可視光線を原子に照射し、より正確に秒をカウントする。
JILAの物理学者であるJun Ye氏は、「この時計は一般相対性理論などの理論によって予測される微小な効果を、ミクロなスケールでも検出できるほど精密だ」と語る。JILAの原子時計は、ごくわずかに上下させるだけで、重力の影響による時間の流れのわずかな変化を見分けることができるという。
時計の精度を高めていくことで、より正確な宇宙航行/探査が実現する可能性がある。人類が太陽系の他の惑星を目指すのなら、膨大な距離を航行しても正確に時間を刻む時計が必要になる。時間の計測がわずかでも狂えば、指数関数的に航行の誤差につながりかねないからだ。
Ye氏はさらに「火星に宇宙船をピンポイントで着陸させたいのであれば、現在のGPSよりも何桁も高精度な時計が必要になるだろう。この新たな時計は、それを実現する重要な一歩となるものだ」と述べている。
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World’s Most Accurate and Precise Atomic Clock Pushes New Frontiers in Physics | NIST