- 2017-8-16
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Ping Xiao教授, カーバイドコーティング, ジルコニウムカーバイド, マンチェスター大学, 中南大学, 反応溶融含浸(RMI), 炭素繊維強化炭素複合材(C/Cコンポジット)
イギリスのマンチェスター大学は中国の中南大学と共同で、超音速飛行で発生する高温から機体を保護し、マッハ5の超音速旅行を可能にする新たなセラミックコーティングを開発した。
この速度域での超音速飛行では、機体に接する空気が圧縮されて温度が上昇し、その温度は2000~3000℃にも達するという。この高温の空気により機体表面の金属は高温酸化とアブレーション(表面の気化による分解)を起こす。
超高温の空気から保護するためにロケットやミサイル、ジェットエンジンなどに現在使われているのは、超高温耐熱セラミックス(UHTC)と呼ばれるコーティングだが、現状のUHTCでは超音速飛行で求められるアブレーションの要件を満足することができないという。
今回、マンチェスター大学と中南大学のチームは、現状のUHTCを超える3000℃の温度に耐えるカーバイドコーティングの開発に成功した。高硬度で切削工具などに用いられるジルコニウムカーバイドを使い、炭素繊維強化炭素複合材(C/Cコンポジット)で強化するものだ。新開発のコーティングは反応溶融含浸(RMI)法で生成され、耐酸化性も高く、強度にも優れているという。
研究を主導するマンチェスター大学材料科学科のPing Xiao教授は、「このような極限環境で使用できるUHTCの候補は限られており、気化や耐酸化性の視点から新たな単相セラミックスの可能性を探る価値がある。このようなセラミックを炭素繊維強化複合材に導入することで、耐熱衝撃性を改善する効果的な方法であることが証明された」と、その研究成果を説明している。
関連リンク
Chances of hypersonic travel heat up with new materials discovery