京都大学は2022年11月7日、鳥取大学および住友化学と共同で、柔軟性を持つ固体電解質素材を使用した柔固体型電池を開発したと発表した。
リチウムイオン二次電池の電解質を固体にした全固体電池は、従来の容量や充放電時間、安全性に関する課題を解決する方式として注目されている。しかし硫化物系無機化合物をベースとした固体電解質は硬くて柔軟性に乏しいため、電極との界面をどのように接合するのかが課題だった。
従来は、電池セルに圧力を加えて接合させて電池を作動させてきたが、その方法では加圧に必要な部品によって重量や製造コストが増加してしまう。さらに、接合が弱いと性能が低下するという課題もあった。
同大学はこれまで、柔軟性を持つ固体電解質を使用することで、圧力を加えなくても電極と界面接合できる柔固体型電池の動作実証を目指してきた。今回3者で試行錯誤した結果、新素材を用いることで無加圧方式で約230Wh/kgの容量を達成した。無加圧方式によって加圧に必要な部品が不要になり、電池の重量およびコストの削減が見込まれる。また、より安全性の高い固体型電池の実用化が早まることが期待される。