「機械をつくりたい!」33歳 、経験ゼロから機械設計に挑戦——堀内機械 高木香奈氏

子どものころから機械いじりが大好き

設計は改善して次につなげられる、やりがいのある仕事。「80歳まで現役を目指す!」

設計は改善して次につなげられる、やりがいのある仕事。「80歳まで現役を目指す!」

――大阪航空技術専門学校 整備士科を卒業しておられますね。

子どものころから機械に興味がありました。実家は印刷工場で、小さいころは、両親が遅くまで仕事をしていると、工場で機械に囲まれながら寝ることもありました。機械いじりも大好きで、エンジニアになりたいと思っていました。

どこの学校に入ろうかと考えていたときに、『紅の豚』という映画を観ました。映画の中で、女性の整備士が活躍しているのを観て、「これだ!こういう人になろう」と大阪航空技術専門学校への進学を決めました。

卒業後は整備士にはなりませんでしたが、やはり機械とかかわりたくて印刷会社のオペレーターになりました。その後、機械をつくる側になりたいと思って、30歳を過ぎてから会社を辞め、改めて職業訓練校で3カ月間、CADや製図、設計の勉強をしました。

「もっとCADの勉強をしようか」と思っていた矢先に、たまたま当社のホームページで会社の明るさや雰囲気の良さを知り、「どうしてもここに入りたい」と思いました。

入社面接のときに「これからもっと勉強するので、設計の仕事をさせてください」とお願いしました。熱意をくみ取っていただけたのか、最初から技術部に配属してくださいました。

――設計の経験なしに、実務に就いたことについてはどう思いましたか。

先輩方が丁寧に教えてくださったおかげですが、未経験からでも実践の中で業務に必要なことは覚えられました。特に当社は工場と一体なので、加工現場を直接見ることもできたことで、より短期間で設計に必要な知識を身に付けることができたのではないかと思います。

CADはあくまで描くためのツール。ツールの使い方ばかりを学校などで習って上手くなっても仕方ありません。ある程度CADを使えるようになったら、実務に入った方が設計に必要な知識と技術が身に付くのではないでしょうか。

転んでも、ただでは起きない

子どものころから機械に囲まれて育った高木さん。「機械が大好き」

子どものころから機械に囲まれて育った高木さん。「機械が大好き」

――今までに影響を受けた人は。

専門学校時代は、2年間、新聞奨学生でした。その所長から仕事に対する考え方や姿勢を叩き込まれました。そのときの経験は今も私の中に根付いていまして、学生時代にいい経験をさせてもらったと思っています。

新聞屋さんは、1月2日以外休みがありません。たとえ台風で道路に水が溢れていても、大雪が降って積もっていても仕事は仕事。泣き言は言っていられません。午前2時から7時まで朝刊配達をした後、学校へ行き授業を受ける。その後、夕刊折り込み、合間に集金・営業をするのが奨学生の1日の流れです。最初は「辞めたい」と思うことも多かったですが、先輩の奨学生が「みんなでがんばろう」という雰囲気をつくってくださったので、私もくじけずに続けることができました。

――お話をうかがっていると、とても前向きだなと感じます。

ポリシーは「明るく、楽しく、前向きに」ですね。楽観的なところもあるのかもしれません。

新聞奨学生の1年目は優秀な先輩に囲まれて、私1人がダメな子で、「新聞が届かない」とお客様から連絡があると、自分で謝りに行かされました。2年目には先輩方が卒業してしまうので、それまでに何とかしたいと必死になったら、折り込み作業も速く丁寧にできるようになったし、配達のミスもなくなりました。「折り込みと配達のスピード、正確さは誰にも負けない!」と自信が付きました。

今の仕事も、まだまだ全然ダメで叱られますが、奨学生時代の経験があるので、「今はできなくても、必ずできるようになってみせる。信頼される頼もしいエンジニアになってみせる」と思っています。

転んでも、ただでは起きない。やはり私にとっては、新聞奨学生のときの経験は、原点なのかもしれません。

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