ニコンは2016年11月8日、同社グループ全体での企業価値向上に向けた収益力強化と体質改善を目的として、構造改革の実施を決定したと発表した。半導体装置事業、映像事業の事業戦略を見直すとともに、1000人規模の人員削減等を実施する。
同社ではこの間、「中期経営計画 2015年度版」に基づき、持続的に成長する企業体を目指すことを基本方針に、メディカル事業におけるOptos社の完全子会社化など、成長事業での取り組みを進めてきた。しかし、半導体装置事業では目標であった黒字化が実現できず、映像事業は想定以上に市場縮小が進行していることや為替の影響もあり、安定的な収益確保が進捗していない。
そうした状況を受け同社では、現行経営計画の継続は将来の収益構造のさらなる悪化につながるとの判断から計画の継続を断念し、財務基盤が健全であるうちに、グループ全体での構造改革を実施すると決定した。
構造改革は、これまでの売上成長を志向した戦略から、収益力強化を志向する戦略へ方針転換するとし、半導体装置事業、映像事業および本社機構の構造改革を最優先する。半導体装置事業、映像事業では、開発戦略や製品戦略の見直し、生産体制の最適化等を実施。本社機構については、組織・体制を見直し、スリム化を図る。
また、人員配置適正化による固定費の削減をすすめ、具体策として、平成29年3月期中に国内で約1000名程度の希望退職の募集を実施する。構造改革に伴う一時費用として平成29年3月期中で480億円を見込む。
これらの施策により、平成30年3月期における固定費を200億円削減するとしている。