帝国データバンク、2016年12月の景気動向調査結果――国内景気は上向き傾向続く

帝国データバンクは2017年1月11日、2016年12月の景気動向調査結果を発表した。国内景気は幅広く改善し、上向き傾向が続いており、製造業も4カ月連続の改善となっている。

同調査は国内景気の実態把握を主目的として、景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について月次調査しているものだ。今回調査は2016年12月15日~2017年1月5日の期間にインターネットを通じて実施され、調査対象2万3804社、有効回答1万33社で回答率42.1%。

12月の景気DIは前月比1.3ポイント増の45.4で、4カ月連続の改善となった。4カ月連続の改善は、7カ月の改善が続いた2014年1月以来2年11カ月ぶりだという。

12月の国内景気は、クリスマス/年末商戦などの堅調に加え、外国為替市場や株式市場などの金融市場がトランプ次期米大統領の経済政策(トランプノミクス)への期待や、新興国・資源国経済への不透明感が一部和らいだことで安定的に推移したことが好材料となった。

また、自動車生産の引き続きの好調や、貸家を中心とした住宅着工戸数増加、東京五輪やインバウンド需要を見込んだ宿泊施設のリニューアル・新規建築などもプラス要因となった。一方、ガソリン・軽油など燃料価格の上昇はコスト負担を増加させる要因となったが、国内景気は、堅調な内外需要に年末商戦の効果が加わって上向き傾向が続いた。

業界別で見ると、10業界すべてが改善した。これは消費税増税前の駆け込み需要があった2013年12月以来3年ぶりだという。年末需要や堅調な外需、原油価格や鋼材価格の上昇を見込んだ需要増が寄与したほか、製造業では設備投資への動きを感じるコメントも見られた。製造業のDIは45.2で、前月比1.7ポイント増、4カ月連続の改善となった。

製造業企業の声をみると、現在の状況については、年末の駆け込み需要などから、比較的注文が入っている。プラスチック業界は原油の値上げが想定され、早めの発注・生産に動いている」(洗浄剤・磨用剤製造)、「ハイエンドスマホの新機種と中国スマホの売れ行きが堅調なことや、円安がやや進んだため景況感は良好」(化学工業製品製造)、「自動車の安全運転関連部品向けの自動化設備が好調」(特殊産業用機械製造)、「半導体製造装置の関連部品が好調」(金属表面処理)、「大手医療関係やバイオ関連企業からの引き合いが多い」(分析機器製造)、等が上がっている。

また製造業企業の先行き見通しでは、「半導体・液晶装置メーカーの受注が堅調で、2017年後半までの生産計画が好調」(金属工作機械用・金属加工機械用部分品・付属品製造)、「電力配電用変圧器修理市場において修理数量が増大し繁忙が期待される」(発電機・電動機・その他の回転電気機械製造)、「2017年夏以降から五輪需要などで物量が増加」(建築用金 属製品製造)、等の声があった。

地域別DIでは、10地域中「東北」を除く9地域が改善となった。域内主力産業の好調さが関連業種・企業へと波及する動きのほか、駅前開発や公共投資なども好調要因となった。

今後の国内景気の見通しとしては、個人消費の動向がカギを握ると分析しており、賃金の上昇見通しのほか、働き方改革等に向けた施策が好材料となり、拡張的な財政・金融政策の継続が景気を下支えするとみる。海外では、トランプノミクスの動きや米国での利上げ、原油など燃料価格の動向を注視すべきとしているが、景気は緩やかな回復が続くと分析している。

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