ジャパンプローブと科学技術振興機構(JST)は2017年7月14日、光超音波イメージング法によりリアルタイム3Dイメージングを実現する超音波センサを開発したと発表した。生体の血管網と血液状態を、非侵襲的かつリアルタイムに3D画像化する技術につながるという。
光超音波イメージング法では、計測対象にレーザ光を照射し、光を吸収した対象が熱膨張して発生する音波を検出して画像化する。この手法でリアルタイムに3次元的画像を得るには、超音波センサを計測対象を取り囲むような球面状にすること、多くの位置で受信できるように球面に多くの圧電振動子を並べること、そして、さまざまなサイズの計測対象に対応できるように広帯域化すること、以上3つの技術課題があった。
従来の圧電振動子は、固いために球面形状に成形することが困難だった。しかしジャパンプローブは、独自の製造技術とモールド法を用いて、保護層、コンポジット振動子、ダンパー材の3層構造からなる圧電振動子を半球フィルム上に形成し、球面形状に1024個の素子を配置することに成功。また、圧電振動子をコンポジット振動子としたことで、周波数帯域1MHz~4MHz以上の広帯域な受信感度も実現した。
今後、さらに性能を向上させることで、早期診断や美容・健康に関わる身体機能モニタリングの実現を目指すという。さらに、工業材料中の劣化や亀裂などを可視化し、非破壊計測への展開を進めるとしている。