東北大、固体触媒による水酸基無保護での糖類の直接高効率変換に成功――キラルポリオールやポリマー原料の高収率な合成が可能に

東北大学は2018年5月25日、固体触媒による無保護糖類からのキラルポリオールなどの有用化学品の高効率合成に成功したと発表した。

バイオマスを原料とした、バイオ燃料や樹脂などを製造するプラントおよび技術の確立が求められている。中でも、グルコースなどの糖類は、木質バイオマスから得られる基本的な化合物であり、糖類の高効率かつ高選択的な触媒変換は重要技術の一つとされる。

しかし、これまでは、糖類の脱水によるフルフラール合成を経由するルートが主要で、糖類固有の立体構造を活かすことができなかった。一方、糖類の立体構造を活かす手法として、均一系触媒を用いた精密有機合成による変換が知られていたが、糖類は多数の官能基を有するために多段階合成を必要とし、収率が低下してしまう問題があった。

バイオマスから有用化学品合成ルート

研究グループは今回、固体触媒を用い、メチルグリコシドからジデオキシグリコシドを高選択的に合成することに成功した。その固体触媒は、活性金属種であるレニウムと助触媒であるパラジウムを酸化セリウムに担持し、シス隣接ジオールのみを選択的に除去することができる。さらに、加水分解や水素化反応を組み合わせることで、糖類固有の立体構造を保持したキラルポリオールやポリマー原料であるジオール前駆体を高収率で合成できることを実証した。

研究グループは、この手法はこれまでにない新規バイオマス変換手法として期待できるとしている。また糖鎖工学の観点からも、さらなる触媒技術と変換手法の進歩が期待されるとしている。

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