大阪大学は2018年11月14日、一般的な導電材料を用いた圧力分布の計測技術を開発したと発表した。
人とロボットが共存する社会では、ロボットは触覚センシング(圧力分布の計測)を備え、力加減を操ることで、人への過剰な接触による危険を排除する必要がある。一方、圧力分布の計測が可能な触覚センサーを作るためには、緻密なセンサー配列を構成し、特殊な感圧材料を用いる必要がある。そのため、設計の自由度が低く製造が難しいという問題があった。
研究グループは今回、2つの導電体が接触する際、電気接触抵抗が接触圧力に応じて変化することに着目。電極を貼り付けて電圧を計測し、推定した電圧分布から接触圧力の分布を計算するトモグラフィ技術を独自に考案した。この技術により、電気を通す材料であれば何でも触覚センサーに変えることができるという。その上、このセンサーは接触時のみに電流が流れるため、従来よりも消費電力が少ない。
また、実験により、接触位置は5.68%の精度、圧力は最大0.50N/mm2に対して5.38~10.2%の精度で推定できることを明らかにした。この結果は、従来の圧力分布センサーよりも優れた性能を達成できる可能性を示唆しているという。
研究グループは、この成果により、圧力分布センサーの自在な形状の設計と安価で容易な製造が可能になると説明。また、精度が高く感度や検出範囲の調整も容易な触覚センサーの実装もできるという。さらには、3Dプリント技術と組み合わせることで触覚センサーのデジタルファブリケーションが可能になり、多様なロボットの安全かつ高度な制御への応用が期待されるとしている。