ロケットの固体燃料も造形できる――強粘着性素材を扱える3Dプリンティング技術

アメリカのパデュー大学の研究者達は、一般の3Dプリンターでは難しい、粘着性の高い素材も扱える3Dプリンティング技術を開発した。

一般の3Dプリンターでは、粘着性が極度に高い素材を用いて高速かつ高分解能で造形することは難しい。材料を押し出すことができず、ノズルに詰まってしまうためだ。今回新たに開発した3Dプリンティング技術は、ノズルに超音波振動を与えることで、ノズル壁と素材の間の摩擦を減らし、粘着性の高い材料を押し出すというものだ。

パデュー大学の研究者達は、固体推進剤(固体燃料)を用いてこの方法を実証した。固体推進剤は、初めはクッキー生地のように非常に粘着性が高い状態にあるが、硬化剤が含まれているため時間の経過とともに硬化して加工が困難になる。

公開された動画には、固体推進剤で3Dプリントを行い、硬化した後に燃焼させる様子が収められている。開発に携わった同学機械工学部のEmre Gunduz研究助教授は、ノズルが振動することによって、材料はノズルを「ヘビのように」通り抜けていくと説明している。

この技術は、固体ロケットシステムに応用できる可能性がある。固体推進剤の形状を工夫することによって燃焼を制御し、ロケットの燃焼時間や推進力を調整できる。

これをビジネスに結びつけるため、Gunduz研究助教授らは、プリンターの他、火工品やロケット用固体燃料を製造するスタートアップ「Next Offset Solutions」を起業した。宇宙ビジネスが話題となる中、Next Offset Solutionsがどのような役割を担うのか、今後の展開が注目される。


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