燃料電池システム世界市場予測、30年度は17年度比約28倍の約5兆円に 富士経済調査

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富士経済は2019年1月11日、燃料電池システムの世界市場についての調査結果を「2018年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望」として発表した。同調査では、燃料電池システムの世界市場を用途分野別、タイプ別、需要エリア別に捉え、将来を予測。あわせて、固体高分子形燃料電池(PEFC)と固体酸化物形燃料電池(SOFC)の主要スタック部品市場についても調査・分析した。

富士経済の調査結果によると、2017年度の燃料電池システム市場は、産業・業務用、FCV、駆動用のけん引により1757億円となった。主要各国では、2025年または2030年の普及目標に向けた技術支援が続けられており、エネルギーの多様化や低炭素社会の実現に向けた燃料電池システムの普及促進が図られている。また、各用途で市場拡大に伴いシステムコストの削減が進み、今後補助金に依存しない産業自立化が実現するとみられる。2025年度に市場は1兆円を超え、2030年度には4兆9275億円に達する見通しだ。

産業・業務用市場は、米国・韓国の導入補助制度を背景に堅調に拡大。既存の燃料電池は安価な天然ガスを原燃料に用いることが多いが、低炭素化を推進する目的で水素燃料やバイオガスを用いた実証実験が進んでいる。駆動用は、これまで主な商品が燃料電池フォークリフトに限られていたが、トヨタ自動車が量産型FCバスを2018年に発売したほか、欧米ではFCバスやFCトラックでのフリート走行実証が行われた。中国では普及目標が掲げられ、FCバスやFCトラックの生産が急増。2030年度には中国が市場をけん引し、2017年度比49倍の1兆4511億円になることが予想される。

FCV市場は、2017年に新車種の投入がなく成長は鈍化している。しかし、2018年には現代自動車が「NEXO」を投入するなど、2020年にかけて参入メーカーが増加するとみる。また、2021年から2025年にかけては主要地域の水素ステーションの整備が進む見通し。2025年ごろから量産体制が整いコストダウンが実現すれば普及が進む。水素ステーションの稼働率が上昇すれば、運営自立化が徐々に進展する。補助金に依存せず市場が拡大するとみられ、2030年度には2017年度比111.5倍の2兆2084億円になる見通しだ。

主要各国では、燃料電池システムの普及に向けて技術支援が続けられているアジア(中国・韓国)市場が急拡大すると予想される。電気自動車(EV)が普及している中国では、FCVの普及を促すような政策の転換がみられ、特にFCバスやFCトラックの生産が急増している。また、韓国では導入補助制度を背景に産業・業務用をベースに、FCVやFCバスの普及に注力している。欧州はFCVが市場をけん引する。インフラ整備や技術実証が進められた後、2020年ごろから主要国で拡大するとみられる。

PEFCは、主にFCVやFCフォークリフト、FCバスなどに用いられている。これらが市場をけん引し、2017年度は141億円となった。また、水素ステーションの普及が課題となり、本格的な市場形成には時間がかかるものの、水素エネルギー・燃料電池システムの普及拡大に向けた官民一体の施策が各国で進められている。近年は中国におけるFCV、FCバス、FCトラックの商品化と技術開発が活発化し、EVに続き燃料電池システムへの関心が高まっている。

SOFCスタック部品は産業・業務用が市場の大半を占める。コストの削減やシステム実証が進んでおり、参入メーカーが増加している。日本でも、2017年に京セラ、三浦工業などが商品化を開始し、今後も市場参入を予定しているメーカーがある。SOFCは作動温度が高温であるため、セラミックおよび耐熱金属以外の材料選択が難しく、作動温度の低温化による安価な材料代替に向けた開発が進められている。今後は産業・業務用、家庭用での採用が市場をけん引していくと予想される。

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