高い充放電特性を示すナトリウムイオン電池用電極材の研究

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(a) Rietveld refinement XRD pattern for the synthesized Na2V3O7 particles. The adapted crystal structure model is shown in panel (b). A SEM image of the Na2V3O7 particles is displayed in panel (c).

名古屋工業大学の研究チームは、新しいナトリウムイオン電池(SIB)用カソード材料の特性について発表した。優れたハイレート性能とサイクル特性を持ち、電気自動車など大型バッテリーの性能向上が期待される。研究成果は、2018年11月21日付けの『Scientific Reports』に掲載されている。

リチウムに代わるバッテリー素材として注目されているナトリウムには、原料の豊富さだけでなく、性能的にも利点がある。ナトリウムはリチウムほどではないもののイオン化傾向が高いのでエネルギー密度を高めることができるほか、拡散度が高いので電気自動車などに必要とされる急速充放電性能の指標となる高いハイレート性能が期待できる。

研究チームは、合理的かつ効率的にSIB向け材料を見つけるため、ナトリウムの移動エネルギーについてハイスループット計算を利用し、結晶構造データベースのうち約4300の候補物質の中から、ナノチューブ構造を持つNa2V3O7を選定した。Na2V3O7はナトリウムの拡散に優れているだけでなく、理論上の容量も十分である。今回は、実験とシミュレーションによる解析を通して、構造や電気化学的性質について明らかにした。

Na2V3O7の作製には固相反応法を利用した。Na2CO3とV2O5の混合ペレットを650℃で1時間過熱し前駆体Na4V3O7を合成した後、Na4V3O7とV2O5、V2O3の混合物を700℃で24時間焼成して完成させた。材料の評価はX線回折などのほかに、Naアノードと組み合わせたコインセルで充放電試験を行った。

Na2V3O7はナノチューブがハニカム構造のように整列している。ナトリウムイオンはナノチューブの内側と周囲に分布し、それぞれ1次元、3次元的に拡散できる。SEM画像からは、粒子が短辺5μm、長辺30μmの針のような形状をしていることが分かった。

粒子サイズが5μm以上と大きいにも関わらず、室温における放電レート10Cでの容量維持率は65%であることを確認した。これは6分以内で充放電できることを示している。また、容積変化が小さく、レート1Cにおける50回の充放電後の容量維持率は約94%であった。これまで見つかっているSIBカソードと比べても、優れたハイレート性能とサイクル耐性を示している。

一方、可逆容量は上限カットオフ電圧3.5Vで約90mAh/gと、理論容量(約173mAh/g)のほぼ半分であったが、適切なカチオンやアニオンをドープすることで改善されるだろうと研究チームは考えている。

関連リンク

Nanotube-structured Na2V3O7 as a Cathode Material for Sodium-Ion Batteries with High-rate and Stable Cycle Performances

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