水素燃料(HHOガス)を水から電気なしで大量生成する新技術、二酸化炭素の排出ゼロ化へ

HHOガスの燃焼メカニズム

HHOガスを電気なしで生産する新装置

Eneco Holdingsは2019年6月25日、水の電気分解の原理を進化応用させた、HHO(酸水素)ガスの生成装置「Eneco PLASMA R Hydrogen GAS」を発表した。少量の水と独自開発した触媒の化学反応により、電気をほとんど使用せず、低温において高出力/高濃度HHOガス(EnecoハイブリットHHO)を大量に製造する。

水の電気分解には代表的な2つの工法があり、一方が「水の電気分解法」で、他方が「ドライセル電気分解法」だ。水の電気分解法では純水素と酸素が発生するが、ドライセル電気分解法では水素と酸素の割合が2:1、あるいは酸素1に対して水素の割合が2以上の混合気体が生み出される。

この混合気体がHHOだ。耐火物製造時のトーチやガス溶接の燃料に使われることが多いが、生成から使用まで二酸化炭素の排出がないEnecoハイブリットHHOガスは、化石燃料(重油、灯油、軽油、BDFなど)やガス(天然ガス、LPガス、プロパンガス、シェールガスなど)に取って代わる代替エネルギーとして使用できるという。

EnecoハイブリットHHOガスは、水の電気分解法とドライセル電気分解法2種類の電気分解法を応用し、疑似的に反応作用を進化させたものだ。記者会見では、その3つの特徴についての発表があった。

普通のHHOガスよりも水素濃度の高いEnecoハイブリットHHOガス

1つ目は、Enecoガス燃焼のメカニズムだ。酸素と水素を1:2~1:3で混合し、水の分子2H2Oが、そのままH2とO2に分解しても、安全に取り扱えるという。Enecoガスを点火させても純水素に近い燃え方をするが、炎を手の平の上で横切らせても燃えず、また熱くないが、鉄の板などに当てると化学反応が起き、あっという間に溶け出し切断が可能だ。

Enecoガスは、爆発するのではなく爆縮する。着火すると、パッと燃えて真空になり、空気の容量から液体の容量に体積が減る。つまり、水となって液相に移る空間が真空になり、エネルギーを外に無駄に流さない。

2つ目は、ニッケルの百円玉に、Enecoガスをバーナーで着火して当てると、数秒で孔が開くことだ。Enecoガスと相手の物質との化学反応により、温度が自由に上がる特徴を持った炎へと変化し、通常のガスでは溶かせないものを低温で溶かすことができるという。

そして3つ目の特徴は、水に鉱石を接触させ、温度変化や圧力などを加えるという水の改質技術(イオン化)で水素パワーを向上させることだ。水道水を直接使用するよりも、イオン化した方が水素濃度は360倍も多い。そのため、改質しイオン化した水を使用することで、水素発生量は増やせる。EnecoハイブリッドHHOは、水素濃度を50~100%の間で可変することができる。

資源の輸入や運搬、大規模な設備投資は不要で、原料は水だ。二酸化炭素の排出を真に減らせる技術として、水素発生装置の販売、および装置のメンテナンス、触媒の販売業務を通じて持続可能な社会に貢献する。

今回開発した水素燃料技術が浸透すれば、1世帯の1週間の電力消費量といわれる約65kWhをわずか2Lの水で賄えるという。

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