欲しいときに欲しいだけ、低温で二酸化炭素を資源化する手法を開発 早稲田大学

早稲田大学大学院先進理工学研究科修士2年の山田研成氏および理工学術院の関根泰教授らの研究グループは2020年1月22日、低温で二酸化炭素を資源化する全く新しい手法を開発したと発表した。常温から100度台と低い温度で、二酸化炭素と再生可能エネルギーで得られる電力と電解水素を反応させて資源化する。

これまで二酸化炭素を再び資源化する手法として、400度程度の温度で、水素と固体触媒を用いて還元し、一酸化炭素やメタンなどへ転換する方法が知られていたが、比較的高い温度が必要だった。また、欲しいときに欲しいだけ資源化を進められるプロセスは存在しなかった。

研究グループは、回収した二酸化炭素と、再生可能エネルギーから得られた電力と電解水素を用い、常温から100度台という低い温度範囲で、効率よく速やかに二酸化炭素を資源化する手法を開発した。セリウム酸化物の上に、ルテニウムという金属の微粒子を微細に載せた固体触媒を創出し、外部から弱い直流電場を印加すると、二酸化炭素が効率よく一酸化炭素やメタンへ資源化されることを見出したという。

従来の触媒プロセスは、温めて反応することを待つタイプのものだったが、半導体材料であるセリウム酸化物に直流電場を与えると、その表面でプロトンが動くという「表面プロトニクス」という現象を発見。二酸化炭素の資源化にこの現象を用い、低温で欲しいときに欲しいだけ資源化を進められることが明らかになった。

この手法により、あらゆる燃料などを燃焼した後に排出される二酸化炭素を回収し、低温で欲しいときに欲しいだけ、安全に資源化できる。温暖化抑制、化石資源消費抑制のための社会変革への貢献が期待される。今後、社会で実装し、工場などから実際に排出される二酸化炭素を回収して利用することが課題となる。

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