ペロブスカイトを用いた次世代型太陽電池モジュールを開発――効率と安定性を改善 沖縄科学技術大学院大学

沖縄科学技術大学院大学は2020年7月21日、同大学技術開発イノベーションセンターによるプログラムの支援を受けているヤビン・チー教授の研究チームが、ペロブスカイトを用いた次世代型太陽電池モジュールを開発したと発表した。

ペロブスカイトは柔軟性や軽量性に優れており、太陽電池パネルに用いることで、従来のシリコンベースの太陽電池パネルと比較してよりさまざまな用途に応用されることが期待されている。一方で、短寿命や大型の太陽電池モジュールに用いた際の低効率が課題となっていた。

ペロブスカイトの太陽電池デバイス

同大学の研究チームは、22.4cm2の太陽電池モジュールを用いて、まず「EDTAK」と呼ばれる化学物質をペロブスカイト活性層と酸化スズ電子輸送層との間に追加し、両層の界面を改善した。すると、EDTAKがペロブスカイト活性層と電子輸送層との反応を防ぐことで、太陽電池モジュールの安定性を高められることが明らかになった。

また、EDTAK内のカリウムがペロブスカイト活性層に移動してペロブスカイト表面の小さな欠陥を修復することで、表面の欠陥が移動中の電子と正孔をトラップするのを防ぎ、より多くの電気を生成することが可能となった。さらに、EDTAKが電子輸送層の導電性を高めるため、ペロブスカイト層からの電子の収集が容易となった。

加えて、ペロブスカイト活性層と正孔輸送層の間の界面にも「EAMA」と呼ばれるタイプのペロブスカイトを追加し、正孔輸送層が正孔を受け取る能力を向上させた。EAMAを追加したデバイスは、EAMAがペロブスカイト活性層の表面と相互に作用するため、湿度と温度のテストでも優れた安定性を示している。

さらに同研究チームは、「PH3T」と呼ばれる少量のポリマーを混合し、正孔輸送層に撥水特性を与えて耐湿性を高めた。同ポリマーの混合により、モジュールの延命にも成功している。ペロブスカイト太陽電池モジュールの上部電極を構成する金の微小粒子が、時間の経過により電極から正孔輸送層を通り、活性ペロブスカイト層に移動してしまうことが劣化の原因となっていたが、PH3Tポリマーを混合することでこれを防ぐことが可能となった。

仕上げにガラス層にポリマーのパリレン薄層を追加することで、太陽電池モジュールに保護コーティングを施した。これにより、2000時間の一定の照明を受けた後でも初期性能の約86%を維持することが可能となった。

同研究チームが産業技術総合研究所と協力して今回の太陽電池モジュールのテストを行ったところ、効率が16.6%に達したことが確認された。今後より大きな太陽電池モジュールにも今回の成果を適用すべく、さらなる研究を進めるという。

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