プリンストン大学の研究チームは、データセンタやクラウド用途に特化した大規模コンピューティング用マイクロプロセッサ「Piton」を発表した。
Pitonは、6x6mmのチップに25個のコアを搭載し、データセンタでの使用を前提としたスケーラブルなアーキテクチャを持つのが特徴だ。同大電子工学部のDavid Wentzlaff助教授は「我々はデータセンタやクラウドに特化したアーキテクチャは何かを考え抜いた。」と語っている。学術研究として開発したコンピュータチップとしては最大級のものだという。
データセンタでは似通った処理が大量に走り、マクロで見ればコンピューティング資源やエネルギーの無駄を生じているといえる。また、一般的にコア数が増えれば処理能力は上がるが、コア数が増加するにつれてリソースの競合、CPU利用率の不均衡などが顕著となり、特別な工夫をしない限り、スケーラビリティは一定のコア数で実用上の限界に達するという。
Pitonは、類似した処理を同じコアで連続して実行させることで処理効率を上げるアーキテクチャ(execution drafting)を採用することにより、処理効率が20%向上したという。更に、スレッドのストールを抑制する処理同期技術と、メモリアクセス時間を平準化する技術(memory-traffic shaper)により大規模スケーラビリティを実現している。
このPitonのアーキテクチャによって、ひとつのプログラムを数千のコアで実行するような設計も可能で、さらに数千のチップを接続して1台のコンピュータシステムに数百万のコアをもたせることも可能になるという。
Wentzlaff助教授は「Pitonは、将来の大規模なコア数の商用サーバシステムのプロトタイプだ。」、「我々は、我々のデザインをオープンソースとして、喜んで世界に提供する。」と述べている。