NTNは2021年4月19日、軸受の外輪外径面に逃げ部加工を施すことでクリープを停止する「クリープレス軸受」を開発したと発表した。
近年、省燃費や省消費力化を目指して、自動車の駆動装置に使用される軸受の軌道輪やハウジングを薄肉にしようとする傾向がある。その影響によってそれらが変形し、固定した外輪が円周方向に回転してずれる「クリープ」現象が発生する場合がある。クリープ現象が起こると、外輪とハウジングのはめあい面の摩擦によって軸の芯ずれや傾きが大きくなり、それが元で異音や振動が発生。さらに摩擦粉によって軸受の寿命を低下させる。
今回開発したクリープレス軸受は、外輪外径面の一部に逃げ部を設けて、ハウジングとの接触を回避するよう設計した。これによって一定方向に過重がかかる条件においてひずみの進行波を遮断。重荷重の条件下でも、外輪が円周方向に回転する「進行波型クリープ」を停止させることができる。
同軸受は追加部品が不要なため、組み付け性に優れており、同一寸法の標準軸受からの置き換えもできる。