コバルトフリーなリチウムイオン電池正極の高電圧作動に成功――新規フッ化物固体電解質のコーティング技術を開発 東北大学

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東北大学は2021年9月27日、コバルトフリーなリチウムイオン電池正極の高電圧作動に成功したと発表した。

現在、リチウムイオン電池の正極にはコバルトが使用されている。電気自動車などの市場拡大によって2030年までには需要が供給を上回り、コバルトの供給が逼迫することが予想されている。加えてコバルト鉱石や製錬したコバルト地金の生産が特定の国に集中しているために、サプライチェーン上のリスクも高い。

リチウムイオン電池をコバルトフリー化する際の選択肢の1つとして、スピネル構造のニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5O4(LNMO)を適用することが考えられる。しかし、LNMOの動作電圧は4.7Vで、現行のリチウムイオン電池の3.7Vと比較して非常に高く、それにより電解液などの分解が生じて充放電サイクルが困難になるという課題があった。

今回、LNMOへのコーティング剤として十分なリチウムイオン伝導性、耐電圧性、化学的安定性を持つLi3AlF6(LAF)を開発した。これをLNMO表面に薄膜コーティングしたコアシェル構造型正極材料を作製。同材料が5V級の高電位で100回以上の安定した充放電サイクル特性を示すことを実証した。コーティングによって電解液の分解が抑制され、高いサイクル特性を示したと考えられるという。

繰り返し充放電における放電容量(LAFでコーティングした正極は、コーティングしていない正極と比べ放電容量を維持している)

今回開発したフッ化物固体電解質は、リチウムイオン伝導性と耐電圧性を兼ね備えているので、5V級リチウムイオン電池をはじめ、コバルトフリー正極材料、全固体電池などさまざまな応用が期待できるという。また、フッ化物固体電解質の薄膜コーティングはさまざまな正極に適用可能で、LAF以外のフッ化物も合成できるため、幅広い正極材料開拓が可能である。さらに材料開発によりフッ化物固体電解質のリチウムイオン伝導性を向上させることで、車載電池として期待される全固体電池の高エネルギー密度化も期待できるという。

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