室温成形性と強度に優れ、熱伝導率が高いZA系新マグネシウム合金圧延材を開発 日本金属ら

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日本金属は2021年10月20日、産業技術総合研究所、不二ライトメタルとの共同研究により、優れた室温成形性と強度、高い熱伝導率を有する「ZA系新マグネシウム合金圧延材」を新たに開発したと発表した。これまで両立が困難だった軽量性と高熱伝導率を兼ね備えた材料となる。

最軽量金属材料のマグネシウム合金は、高強度、高剛性、リサイクル性の高い材料として注目を浴びているが、アルミ合金と比較してマグネシウム合金圧延材は室温成形性が低く、プレス成形に際しては加工する圧延材と金型を200~300℃に加熱する必要があった。これらの弱点は、マグネシウム合金圧延材に固有な結晶組織の配向(並び方)と、合金添加元素の種類と量に起因する。

そこで、この弱点を解消するため、マグネシウム合金圧延材の成形性低下をもたらす結晶配向を抑制し、マグネシウム合金板材の室温成形性を高める共同研究を実施。日本金属が圧延技術の開発(合金設計含む)、産業技術総合研究所が合金設計開発(試験片レベル)、不二ライトメタルが鋳造、押出し技術の開発(合金設計含む)を担当し、ZA系新マグネシウム合金圧延材(Z:亜鉛、A:アルミ)を開発した。

ZA系新マグネシウム合金圧延材は、Mg-Zn系合金に微量の特定元素(カルシウムなど)を添加して結晶の配向を制御し、実用的な強度と耐食性の付与を目的とした合金成分のチューニングを施した合金となる。一般的なマグネシウム合金圧延材は六角柱状の結晶が圧延板表面に対して垂直に立ったような配向になっているのに対して、新合金圧延材の結晶は、ちょうど六角柱の鉛筆の束を板幅(TD)方向に35度傾けたような配向を示すという。

室温エリクセン試験によってZA系新合金圧延材の室温成形性について検証したところ、従来の自動車外板パネルに用いられているアルミ合金と同等の優れたエリクセン値(8.6mm)を示すことがわかった。また、圧延条件を最適化して微細な結晶を得ることで、輸送機器外板にも使用できる実用的な強度が得られた。

既存のプレス金型を利用した室温深絞り成形により、実用的なプレス成形性の確認も実施。金型温度を室温(非加熱)で、一般的なクランクプレス機(サーボ機構の使用無し)で成形した結果、絞り深さに限界はあったものの、室温プレスで角形状の異なる実部品に近い形状を成形できることがわかった(冒頭の画像)。さらに、このZA系新合金圧延材は高い熱伝導特性を示し、AZ91Dマグネシウムダイカスト材の約3倍、ADC12アルミダイカスト材の約1.5倍優れた熱伝導率131W/m・Kを示したという。

一般的なマグネシウム合金はアルミ合金よりも熱伝導率が低く、大量の熱を発生する次世代高速通信(5G)機器やこれらの搭載が進むモバイルIT機器、熱対策が必要な車載電子機器への適用に制限があったが、これまで両立が困難だった軽量性と高熱伝導率を兼ね備えたZA系新合金圧延材はこれらの機器への使用に好適な材料として大きな期待が寄せられている。

ZA系新合金圧延材は加えて、AZ31Bマグネシウム合金よりも優れた制振性を示すことも確認されており、アルミやチタンより優れた制振性を持つ汎用マグネシウム合金圧延材のAZ31B箔材を凌ぐ制振性が高い材料としても適用の拡大が期待できるという。現在、ZA系新合金圧延材は量産サイズのコイルで試作を完了し、量産体制の確立を目指している。

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