UV透過率を従来比50%以上向上させた無機黒色顔料を開発――より厚い樹脂膜の硬化が可能に 三菱マテリアルら

三菱マテリアルと三菱マテリアル電子化成は2021年12月21日、無機黒色顔料「NITRBLACK(ナイトブラック)UB-1」の技術をさらに発展させ、紫外線(以下、UV)の透過率を従来比50%以上向上させた「NITRBLACKR UB-2」を開発したと発表した。樹脂硬化のためのUV照射時間を短縮し、より厚い樹脂膜を硬化できる。

液晶ディスプレイや光学式センサー、レンズ等の製品分野に使用されている余分な光を遮るための黒色の周辺材は、基材の耐熱性が低く、製造には熱硬化技術ではなく、より低温で処理できる光硬化技術が活用されている。

光硬化技術は、特定の波長の光を照射することで化学反応を起こし、材料を硬くする技術で、黒色顔料を混合した光に反応して硬化する樹脂を用いる。しかし、従来の技術では、黒色顔料が余分な光(可視光域)だけでなく、硬化に必要なUV域(可視光よりも短い紫外線の波長の領域)の光も吸収してしまい、硬化が不十分となるという課題があった。

高いUV透過性を有する無機黒色顔料のNITRBLACK UB-1は、2017年にこの課題に対して、独自の窒化還元技術を用いて開発した。可視光域の光に対しては十分な吸収性能を発揮しつつ、UV域では高い透過性を有して周辺材の硬化を促すことができる素材となっている。

新たに開発したNITRBLACK UB-2は、このNITRBLACK UB-1の技術を発展させており、可視光域の吸収性能は維持しつつ、UV域の透過性を50%以上向上させている。NITRBLACK UB-2を用いることで、樹脂硬化のためのUV照射時間を従来比で4分の1以下に短縮でき、より厚い樹脂膜を硬化できる。

NITRBLACK UB-2を使用してUV硬化させた樹脂(厚さ1cm)

従来品との透過率比較

NITRBLACK UB-2は、使用時のエネルギー効率の改善や温室効果ガスの削減も期待される。今後さらに高性能化が進む液晶ディスプレイや光学式センサー、レンズ等向けでの利用拡大のほか、遮光性を有する接着剤等、幅広い用途への展開を見込んでいる。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る