アスベストを高出力レーザーで無害化する技術を開発 NTT

NTTは2022年1月21日、高出力レーザーを照射することによってアスベスト(石綿)を無害化する技術を開発したと発表した。レーザー照射で熱融解することで、アスベストが繊維状から球形状へと変形することを確認。回折光学素子(DOE)を用いてレーザー照射の際のアスベスト粉塵の飛散を抑制することにも成功した。

この技術については2022年2月21日~27日に開催される国際光工学会(SPIE)Photonics Westオンデマンドで発表される。

NTTはアスベストに高出力レーザーを照射する実験を行い、アスベストの形状の変化を観察。その結果、極めて細く尖った形状のアスベストが溶融して球状に変化することを世界で初めて確認した。

アスベストは細く尖った形状をしており、吸い込むと肺胞に沈着しやすく長期にわたって肺の組織が傷つけられる。このため、肺がんや悪性中皮腫の発症の原因と考えられているが、NTTではアスベストの形状が変化し球状になれば、人体にとって無害化されるとみている。

さらに、光の回折現象を利用してレーザービームの形状を自在に変えられる回折光学素子を使い、高出力レーザーのパワー密度とビーム形状を制御。それによってレーザー照射時の粉塵量を抑制することにも成功した。

NTTには、10kW級の高出力レーザーに対応した回折光学素子をシリコンで作製する技術があり、レーザー照射装置の低コスト化が可能。回折光学素子を用いることで、レーザーを照射する装置のヘッド部分を軽量化、小型化することもできる。

同社は今後、アスベストを無害化する装置の開発に向け、これらの技術に加えて、アスベストを短時間で無害化し除去できる技術や、アスベストを含む建材を安全で効率的に切断する技術の検討を進めていく。
 

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