水からリチウムなどを「採掘」する技術の試験が進む――磁性ナノ粒子を用いて迅速かつ高いコスト効率で重要な鉱物を抽出

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磁性ナノ粒子を用いてさまざまな水源からリチウムなどの重要な物質を抽出する手法の試験が実施されている。この研究は、米エネルギー省パシフィックノースウェスト国立研究所(PNNL)が産業界と共同で行っているものだ。

携帯電話から電気自動車まであらゆるものに電力を供給する軽量リチウムイオン電池をはじめ、リチウムは電子技術やエネルギー技術に不可欠な材料だ。リチウムの世界市場規模は2028年までに82億ドル(約1兆1000億円)に達すると予測されているが、アメリカでの産出量はごくわずかだ。

そこで、PNNLが現在開発しているのが吸着材のシェルで包まれた磁性ナノ粒子だ。この磁性ナノ粒子を包むシェルは、さまざまな産業分野の製造生産や処理過程などで、使用または排出される水の中に含まれるリチウムやその他の金属をしっかりと吸着する。

この鉄ベースのナノ粒子を水に入れると、リチウムが水から引き出されて粒子と結合する。その後、磁石を使うと、リチウムがくっついた状態のナノ粒子をわずか数分で回収できる。リチウムは液体中に浮遊していないので抽出しやすく、リチウムを抽出した後で、再びナノ粒子を使用することが可能だ。

抽出に使用する水源としては、地熱発電所の地熱かん水(地熱ブライン)や、石油やガスの産出時に地下からくみ上げられる水などが想定されている。また、海水淡水化プラントからの排水や、さらには海水にも直接使用できる可能性がある。

従来の抽出方法では、大きい蒸発池に費用をかけて地下から水をくみ上げて注ぎ込んでいた。この方法では抽出するまで数カ月から数年かかる上に、設備がある乾燥地域の地下水管理に影響を与える可能性がある。現在の方法は、まるでレモネードが入っているピッチャーから水が蒸発するのを待ち、底に沈んだ粉状の混合物を回収できることを期待しているようなものだ。

それに対して、PNNLの技術は、より迅速かつ安価にリチウムやその他の重要な物質を抽出でき、アメリカ国内でより多くのリチウムなどを産出する機会をもたらす可能性がある。特許出願中のこの技術が地熱発電所に導入されれば、回収されたリチウムは価値があるので、地熱発電による再生可能エネルギーの費用対効果が高まる可能性もある。

PNNLは米Moselle Technologiesと提携してさらなる開発を進めている。同社はこの技術をライセンス供与しており、数カ所での試験運用を計画している。また、PNNLの研究者たちは、別の用途も視野に入れており、ナノ粒子のシェルをカスタマイズして、エネルギー技術、医療用撮像装置、電子機器などに使用される特定の元素や鉱物を抽出対象にすることにも取り組んでいる。

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