新たなパワー半導体材料「ルチル型GeO2系混晶半導体」を開発 京大など研究グループ

京都大学は2022年9月9日、同大学材料化学専攻や立命館大学、東京都立産業技術研究センターらの研究チームが、次世代パワー半導体材料として注目されているルチル型GeO2(r-GeO2)を中心としたルチル型GeO2系半導体を新たに開発したと発表した。研究成果は2022年8月26日、米国物理学会の国際学術誌「Physical Review Materials」にオンライン掲載された。

研究グループは、低損失かつ高耐圧のパワーデバイスを実現する次世代パワー半導体材料として期待されているr-GeO2に注目。全組成範囲におけるrGexSn1-xO2混晶薄膜の合成と物性を解析したほか、第一原理計算を用いたr-GexSn1-xO2、r-GexSi1-xO2混晶のバンドアライメント解析を行った。その結果、GeO2-SnO2-SiO2 混晶系におけるバンドギャップなどの各種物性制御を実証し、r-GexSn1-xO2 混晶における導電性制御の可能性、r-GexSi1-xO2混晶の障壁層としての有用性を明らかにした。

次世代半導体材料としては、現在、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)や酸化ガリウム(Ga2O3)、ダイヤモンドをはじめとする超ワイドバンドギャップ(UWBG)半導体が、低損失、高耐圧のパワーデバイスを実現すると期待されている。一方でUWBG半導体は基板が高価であり、pn両型伝導の制御が困難であることなどが、デバイスを開発するうえで大きな障壁となっている。

そうした中、最近はルチル型構造のGeO2(r-GeO2)が、次世代半導体材料として大きな注目を集めている。その理由として、r-GeO2は安価な手法でバルク結晶が合成可能で、pn両型伝導の可能性が理論的に予測されていることなどが挙げられる。

研究グループでは、r-GeO2をはじめとするルチル型酸化物半導体に関するさらなる研究、パワーデバイスへの応用につながる成果だとしている。

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