ブラックホールの質量が「シュレーディンガーの猫」のような量子特性を持つことをモデリングで確認

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豪クイーンズランド大学が率いる理論物理学研究チームが、異なる質量を同時に持つといったブラックホールの奇妙な量子特性を確認した。研究の詳細は2022年10月28日付で『Physical Review Letters』に掲載された。

ブラックホールは、重力によって膨大な量の物質が小さな空間に非常に高い密度で詰め込まれた時に生まれ、光さえも逃れることができないほど大きな重力を発生させる。この現象は、死滅へ進む恒星によって引き起こされる場合がある。

ブラックホールが量子物理学の振る舞いを示すかどうかについては、これまで深く調べられてはいなかった。そのような量子物理学的な振る舞いの1つが、量子スケールの粒子は同時に複数の状態で存在できるという「重ね合わせ」だ。これは、有名な思考実験の「シュレーディンガーの猫」で一般によく説明されるもので、「箱の中の猫は死んでいる状態であると同時に、生きている状態でもあり得る」というように、同時にいくつもの状態が存在することをいう。

今回の研究により、ブラックホールは大幅に異なる質量を同時に持つことができることが分かった。例えば、ある人物が、背が高く大柄の体格でありながら、同時に、背が低くやせこけているというようなものだ。これは、従来の物理学の世界に根を下ろしている私たちにとって、直感的には理解しがたい状況といえる。しかし、量子ブラックホールにとってはこれが現実なのだ。

研究チームはこのことを明らかにするために、質量が重ね合わせ状態となっている理論上のブラックホールの外側に1つの粒子を「置く」ことを可能にする数学的フレームワークを開発し、特に質量に注目した。質量はブラックホールの特徴を決定するもので、量子ブラックホールが質量の重ね合わせを自然に持つことは妥当と思われるからだ。

その結果、ブラックホール熱力学の基礎に基本的貢献をした理論物理学者のJacob Bekenstein氏による非常に初期の理論が的中していたことが示された。Bekenstein氏は、ブラックホールには特定の値の質量しか存在し得ない、つまり、特定のバンドあるいは比率のうちに収まっていなければならないと仮定した。例えば、原子のエネルギー準位の仕組みと同じだ。

今回のモデリングによって、Bekenstein氏が予測したように、これらの重ね合わさった質量がある決まったバンドや比率の中に実際にあることが示された。研究チームは、そのようなパターンになることを仮定していなかったので、この証拠の発見は全く予期しないことで、非常に驚きだったという。

関連リンク

Uncovering the massive quantum mysteries of black holes
Quantum Signatures of Black Hole Mass Superpositions

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