分光測定の時間を短縮できる解析プログラムを開発 名古屋大学

名古屋大学未来材料・システム研究所の原田俊太准教授の研究グループは2023年9月6日、分光データの解像度を向上させる独自のアルゴリズムにより、分光測定の時間を短縮できる解析プログラム「スペクトル超解像」を発表した。X線光電子分光法(XPS)の測定時間を従来の約5分の1に短縮できることに加え、最大で約20分の1まで短縮できる可能性もある。

分光測定は、半導体、バイオ、医療、化学などの幅広い分野で、研究開発や製品検査に活用されているが、XPSなどの分光測定では、S/N比(信号・雑音比)を高めるために長時間の測定が必要になることから、測定の高速化が求められていた。

そこで研究グループは、測定時間を短縮するために、測定データの解像度を向上させる「スペクトル超解像」技術を開発。短時間で取得した低解像度のデータを高解像度のデータに変換できる。

研究では、測定時間約50分という標準的な測定条件で取得したスペクトルと、測定時間約10分という短時間測定のデータに対してスペクトル超解像を施し、比較した。その結果、測定時間は、スペクトルデータの品質を保持したまま短縮できた。そのうえ、測定時間をさらに短縮できることが解析でわかり、最大で測定時間が約3分程度となる約20分の1まで短縮できることが示唆された。

原田准教授は、この技術の普及を目指す名古屋大学発のベンチャー SSR株式会社を設立し、スペクトル超解像による分光データ解析プログラムを開発。実証実験を製造メーカーや学術研究機関で実施している。

今回の成果は、大幅に測定時間を短縮できるもので、特に民間企業での研究開発の加速が期待される。また、スペクトル超解像技術の応用範囲の拡大により、分光分析技術の高度化に貢献する。

関連情報

分光分析の高速化を実現する解析プログラムを開発 ~X線光電子分光測定の測定時間を従来の約1/5に~ – 名古屋大学研究成果情報

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