600度の高温に耐えるメモリデバイスの開発

米ペンシルベニア大学の研究チームが、600度の高温に耐えるメモリデバイスを開発した。市販のディスクドライブの耐熱温度に比べて2倍以上にあたるという。耐熱特性は60時間以上維持され、優れた安定性と信頼性を示した。

同研究成果は2024年4月29日、『Nature Electronics』誌に掲載された。

研究チームが開発したデバイスは、約200℃で故障し始める従来のシリコンベースのメモリデバイスとは異なり、強誘電性の窒化アルミニウムスカンジウム(AlScN)をベースに設計された。同デバイスは、メモリデバイスを搭載した家電製品で日常的に使われているようなアクティブ電源を必要とせず、著しく高い温度でも、保存情報を維持する。

研究チームは、ニッケルとプラチナの電極に45nmの非常に薄いAlScN層を組み込んだ、金属-絶縁体-金属構造のデバイスを開発した。高温になると粒子の動きが不安定になるため、AlScN層の厚さが重要となる。薄すぎると、拡散により材料が劣化し、厚すぎると、十分な強誘電体のスイッチができなくなるため、研究チームは、AlScN層の厚さを最適化した。

開発したメモリデバイスは、高温で作動可能なシリコンカーバイド (SiC)ロジックデバイスとの互換性も保証しており、極限温度用に設計された高性能コンピューティングシステムと組み合わせて機能できるという。

ペンシルベニア大学のDeep Jariwala准教授は、「われわれの高温メモリデバイスは、地球深部の掘削から宇宙探査まで、他の電子機器やメモリデバイスでは不安定になるような状況での高度なコンピューティングにつながる可能性を持ちます。単なるデバイスの改良ではなく、科学技術の新たな分野の可能性を与えます」と説明した。

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Turning up the heat on data storage | Penn Today

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