廃熱を利用して消費電力を削減する冷凍方法を開発

中国のKeAi Communicationsは4月10日、中国・西安交通大学の研究チームが、従来の冷凍方法である蒸気圧縮冷凍サイクル(VCR)と吸収冷凍サイクル(ARC)を融合した、圧縮/吸収カスケード冷凍サイクル(CACRC)システムを開発したと発表した。CACRCは、従来の冷却方法に比べて消費電力を大幅に削減でき、エネルギー需要と環境問題に対する解決策として、食品保存や冷房などの産業分野で期待を集めている。同研究成果は2024年2月21日、『Energy Storage and Saving』誌に掲載された。

VCRは、一般的に用いられている冷凍方法であり、蒸発したフロンなどの冷媒を機械的に圧縮して液化し、循環して冷却する。低温を達成するものの、エネルギーコストの高さが課題となっている。一方のARCは、減圧した密閉容器の中で沸騰/蒸発する冷媒の廃熱を利用するため、最小限の電力で作動する。冷媒の水蒸気は、吸収器の中で臭化リチウム(LiBr)溶液に吸収される。

今回開発したCACRCシステムはVCRとARC融合させたシステムで、従来の冷却方法に比べて消費電力を大幅に削減することができ、逼迫するエネルギー需要と環境問題に対して有望な解決策となり得る。

研究チームは、効率の高い組み合わせを探るため、16種類の冷媒と吸収溶液となるLiBrを分析した。その中でCACRCシステムは、単位電力当たりの冷房能力とエクセルギー効率において優れた性能を示した。さらに研究チームは、蒸発温度やカスケードの温度差などのシステムダイナミクスも評価した。

西安交通大学のXiaopo Wang教授は、「本成果は、冷凍技術の持続可能性を向上させる重要な一歩であるとともに、産業に革命をもたらします」と重要性を強調した。

同冷凍方法は廃熱の活用によって消費電力を大幅に削減するだけでなく、環境面と経済面の重要なバランスを両立できる、冷凍システムの基盤を提供するという。

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