遠隔火花放電による汎用プラスチックの合成方法を開発 筑波大

筑波大学は2024年8月1日、テスラコイル(高電圧/高周波発生装置)からの遠隔火花放電を用いて、触媒や重合開始剤を使わずにポリスチレンなどの汎用高分子(プラスチック)を合成する方法を開発したと発表した。従来のプラスチックより耐久性が高く、安価で不純物の少ない製品の開発につながる可能性がある。

研究グループは今回、モノマーとして、スチレンやビニルベンゾエート、メチルメタクリレートなどを用いた。モノマーをガラス容器に入れて、外部のテスラコイルから1分間火花放電を行うと、モノマーの一部にラジカルが発生した。その後、攪拌を続けたところ、重合反応が進み、いずれのモノマーについてもポリマーを合成できた。また、ニトロキシラジカルを介したスチレンの精密重合にも成功し、比較的分子量のそろったポリスチレンの合成に成功した。分子量のそろった高分子は熱的特性や機械的特性に優れている。

さらに、導電性高分子の代表格として知られるポリアセチレンに、テスラコイルからの火花放電処理をしたところ、共役系高分子であるポリアセチレン中に、反応性が高く、孤立したπ電子であるソリトンが発生。ポリアセチレン表面でラジカル重合反応が進行し、ポリスチレンができた。研究グループでは、この方法を「ソリトンラジカル重合法」と名付けた。

開発された火花放電重合法を用いると、特定の重合開始剤や触媒を用いることなく、食品容器などに使用されるポリスチレンやポリメチルメタクリレート(アクリル)などを高純度で合成できる。研究グループは今後、さまざまな高分子材料をこの手法で合成し、工業的な有用性についての検証を進める。

研究成果は同年7月31日、Next Materialsに掲載された。

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遠隔からの火花放電による汎用プラスチックの新しい合成方法を開発 | テクノロジー・材料 – TSUKUBA JOURNAL

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