宇宙のガンマ線で生じる欠陥を自己修復する特殊なガラスを発見

Photo by Antoine Hart

セントラルフロリダ大学(UCF)は2024年7月25日、同大学の研究チームが、マサチューセッツ工科大学(MIT)を含む研究チームと共同で、特殊なカルコゲナイドガラスの自己修復能力を発見したと発表した。カルコゲナイドガラスは、硫黄とセレン、テルルなどのカルコゲン元素をゲルマニウムやヒ素などの元素と合金化した材料で、センサーや赤外線レンズなどに応用される。

UCFの研究チームは、人工衛星の回路システムに使用するために硫黄とゲルマニウム、アンチモンで作製したカルコゲナイドガラスの試験中に、ガラスの修復能力を発見した。宇宙でガンマ線にさらされると、ガラスに微細な欠陥が生じ、その後、室温環境で時間をかけて修復した。

自己修復ガラスは、宇宙空間や放射能施設など、ガンマ線にさらされる極限環境下にある装置や機器に有用だ。UCFの研究チームは、MITをはじめとするさまざまな大学と協力し、ガンマ線を照射したガラスの光学/電子特性の時間依存性を観測し、カルコゲナイドガラスの自己修復の起源を明らかにした。

自己修復は、放射線による原子間結合のひずみに起因しているという。カルコゲナイドガラスは、大きな原子の弱い結合でできており、時間とともにひずんだ配置から元に戻り、自己修復するのだ。

同研究論文の筆頭著者であるMyungkoo Kang氏は、「本発見は、カルコゲナイドガラスがガンマ線の多く存在する宇宙や地上の放射能施設のような極限環境において、丈夫で可逆的な放射線センサーとして使用できることを強く示しています」と説明した。

同研究成果は2024年4月17日、「MRS Bulletin」誌に掲載された。

関連情報

UCF Researchers Help Discover ‘Self-Healing’ Glass | University of Central Florida News

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