脱力人形を応用した、調節可能なメタマテリアルの開発

Courtesy of Wenzhong Yan/UCLA

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は2024年8月7日、同大学の研究チームがプッシュパペット(脱力人形)を応用した軽量メタマテリアルを開発したと発表した。同材料はソフトロボットや再構成可能な構造体、宇宙工学などに利用可能だという。

動物やキャラクターの形をした一般的なプッシュパペットのおもちゃは、土台の底にあるボタンを押すことで動いたり崩れたりする。プッシュパペットの内部にある接続コードを引っ張るとおもちゃは硬く立ち上がり、コードを緩めるとおもちゃの「手足」は緩まり倒れる。

研究チームは人形の制御と同じく、コードの張力に基づく原理を利用したメタマテリアルを開発した。同メタマテリアルは、連結した円すい状ビーズを通したモーター駆動式、または自己作動式のコードを装備している。作動するとコードを強く引っ張り、連結したビーズ同士を詰めて一直線になり、全体的な構造を維持して硬くなる。

コードの張力は調節可能で、構造体は強度を保ちながら曲がる。重要なのは、ビーズの精密な円すい形状とビーズ間の摩擦だという。精密な設計のもと、構造体は何度でも崩壊と硬化を繰り返せるため、繰り返しの動きを必要とする設計に有用だ。硬化時は35倍以上硬くなり、緩んだ状態では輸送や保管が容易となる。

同構造体は、さまざまな組み立て式材料としての応用が期待できる。例えば、再利用を必要とする自己組み立て式のシェルターや足場、異なる地形に対応するように手足の硬さを調整できる、宇宙用の展開式ロボットなどに応用可能だ。

同研究成果は2024年7月3日、「Materials Horizons」誌に掲載された。

Courtesy of Wenzhong Yan/UCLA

関連情報

Engineers Make Tunable, Shape-Changing Metamaterial Inspired by Vintage Toys | UCLA Samueli School Of Engineering

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