NEDO、自動車など輸送機器の軽量化を目指す2つの研究開発テーマを新たに採択

「革新的新構造材料等研究開発」プロジェクトの概要

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2017年4月26日、自動車など輸送機器の抜本的な軽量化を目指した材料開発プロジェクトで、2つの研究開発テーマを新たに採択したと発表した。高精度で小型の中性子ビーム装置を用いた材料評価技術と、多様な構造用材料を組み合わせるマルチマテリアル構造を実現する接着技術だ。

NEDOでは、自動車、鉄道車両、航空機等の抜本的な軽量化に向けて、様々な素材の開発と合わせ、それらを適材適所に使うための接合技術の研究開発を進めている(革新的新構造材料等研究開発、平成26年度〜34年度予定)。今回、研究開発のスピードアップと確実な社会実装を目指し、材料評価とマルチマテリアル接着技術のテーマ2件を新たに採択したものだ。

テーマ1は「中性子等量子ビームを用いた構造材料等解析技術の開発」。高精度で小型の中性子ビーム装置を用いた材料評価技術を開発する。中性子等の量子ビームを用いた鋼板などの金属材料の微細組織/ナノ析出物などの解析技術の高度化、接着/接合部のモニタリング手法、元素分布/応力分布などを計測可能な新たなイメージング手法の開発とともに、新たに小型加速器中性子源の開発を進め、中性子による解析技術の産業利用を促進する。

中性子ビームは極めて透過力が高く、材料内部の様々な組織を非破壊で観察できる。現在、大型中性子ビーム研究施設のJ-PARCが利用できるが、今回の研究では、様々な材料を次々に評価していくため、小型の中性子ビーム装置を導入し、計測手法を開発して、材料評価と研究開発の大幅なスピードアップを目指す。またJ-PARC等の大型中性子研究施設との連携を深め、構造用材料研究を効率的に進めるためのネットワーク構築を図る。

テーマ2は「構造材料用接着技術の開発」。異なる種類の材料を適材適所に組み合わせるマルチマテリアル構造を実現するための接着技術を開発する。接着メカニズム解明のために、接合特性に関わる接着界面の構造、界面での相互作用や、接着する金属/樹脂の適切な表面状態を明らかにする。また、接着部の強度評価法、耐久性予測法、接着部の検査手法を開発し、接着部位の設計手法を確立する。

接着技術は異種材料の接合に適した方法だが、強固な接着を実現するための条件や信頼性をどのように担保するかが課題となる。このテーマでは、接着部の強度評価法などを確立して、物性の異なる異種材料の組み合わせに適した接着技術の開発を進める。これにより、プロジェクト中に開発した構造用材料を用途向けに組み合わせることが可能となり、より確実な社会実装の推進が期待できるという。

両テーマとも研究委託先は新構造材料技術研究組合(ISMA)で、研究分担先はテーマ1が産業技術総合研究所、新日鐵住金、JFEスチール、神戸製鋼所、および日産アーク。テーマ2が産業技術総合研究所とセメダイン。事業予算(平成29〜34年度)はテーマ1が18億円、テーマ2が10億円の予定だ。

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