ガスタービンにおける液体燃料の微粒化機構を解明 東北大、神戸大

東北大学流体科学研究所は2024年4月25日、神戸大学と共同で、ガスタービンにおける液体燃料の微粒化機構を解明したと発表した。燃料噴射弁から噴射された燃料液膜の破断と分裂が、液滴の衝突により生じることを発見し、数理モデルを開発した。

航空機や発電機用ガスタービンの燃焼器の設計には、燃料噴霧の粒径や空間分散の予測が不可欠だが、これまでは実験経験則に基づく推算式しかなく、複雑な微粒化過程の物理機構に基づく汎用的な噴霧粒径分布の予測手法はなかった。二酸化炭素(CO2)排出量のさらなる削減には、燃料噴霧の粒径や空間分散を予測できる汎用的な技術を開発し、燃焼器の設計に生かす必要がある。

研究グループはこれまで、気流式液膜噴射弁から噴射される燃料液膜の複雑な微粒化過程を多数の素過程に分解し、各々の物理機構を解明して数理モデルを構築してきた。今回は、並行高速気流により液膜が振動、変形する過程を高速度拡大撮影した。その結果、気流の乱れや分子間力などで、気流を受けて袋状に急速膨張する液膜の破断が生じると予想されてきたが、浮遊液滴に液膜が衝突することで生じることを発見した。その後、穿孔が生じた液膜が表面張力によって収縮する破断端でマイクロメートルサイズの微小液滴が形成され、縁に残った液が集まり、液糸となって、最終的に大液滴群を形成することがわかった。

この複雑な微粒化過程を素過程に分解して、各々の特性を予測する数理モデルを構築。最終的に、実験相関式を必要としない、物理機構に基づく機構論的な噴霧粒径分布の予測のフレームワークを初めて構築した。

構築した噴霧粒径分布予測モデルの妥当性検証のため、破断端で形成される微小液滴径分布はレーザー計測、大液滴径分布は画像解析で実測したところ、実験値と推算値が良好に一致し、提案モデルの妥当性を確認した。

この研究は、マルチスケールの複雑な気液二相流現象の根源的理解に肉薄する新しい取り組みであり、研究開発の加速が期待される。また、近い将来、噴霧の3次元空間分布の予測への応用が期待される。

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