特定の波長の光では不可視になる単一物質円柱構造を発見――光や電波と干渉しないデバイス等への応用に期待 東工大

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電磁界解析により光が入射した際のy方向の光磁場を図示したもの。(a)では波面が乱れており、光が散乱されている(見える状態)(b)では光がそのまま通り抜けており、不可視な状態

東京工業大学は2019年4月22日、特定光で観測できない不可視な単一物質の円柱構造を発見したと発表した。

物質や構造を不可視化する技術が注目を集めている。ここでいう不可視な構造とは、構造が透明で、かつ光が照射された際にその光の波面が乱されることなくその構造を通過できることを指す。これまでは、メタ物質を用いて対象を特定の媒質で覆う「クローキング」などの不可視化構造の方法が提案されてきた。しかし、単一物質でも形状をデザインすることで、不可視化が可能なことは知られていなかった。この方法では複数の物質を組み合わせる必要がなくなり、比較的容易に不可視化でき、応用も広がる可能性がある。

今回、東京工業大学の研究グループは、円柱に一定方向に偏光する光を当てた際の散乱効率をミー理論により解析。円柱の半径を光の波長で規格化して2πを乗じたサイズパラメータαと、円柱の屈折率、および散乱効率の関係から、屈折率が2.7以上3.7以下の物質(シリコン(Si)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、ヒ化ガリウム(GaAs))で不可視化が可能なことを発見した。

円柱を光で照射した際の光磁場のシミュレーションで、波長0.7μmの赤い光を、直径0.35μmおよび0.39μmのそれぞれのAlAs半導体円柱の照射した場合、前者の場合は光の波面が乱れて散乱していており「見える」状態だが、後者は光が乱れずにそのまま通過し、「不可視」な状態であることを示すことができた。

不可視のメカニズムを調査するために行った計算の結果、不可視化条件ではない円柱内では、光磁場が対称に分布しておらず散乱光が放射されて円柱を観察できる。一方不可視条件の円柱では、中心にプラスの光磁場が分布。マイナスの光磁場が上下に対称に存在することで光磁場がキャンセルされ、散乱光が放出されない。このため、観測できないことが分かった。

円柱内の磁場分布。光は下から上へ照射している。(a) 不可視化されていない場合、(b) 不可視化されている場合。(a)では磁場の分布が対象でなく、散乱光が放射されるが、(b)ではつねに磁場の分布が対象で、ここから生じる散乱光はキャンセルして放射されない

研究グループによると、単一物質による構造で光学的に不可視化できることを実証したのは初だという。この構造は、高い屈折率を有する半導体で実現できるため、今後、不可視な光学素子や電子素子、光と干渉しない配線などが実現できるという。また、構造や周辺の屈折率のわずかな変化で可視化、不可視化できるので、バイオ分野やセンシング素子、光学スイッチング素子への応用が考えられるという。

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