約130年ぶりに変わる「キログラム」、原器に頼らず物理定数を基にした定義へ

産総研で保管する日本国キログラム原器

産業技術総合研究所は2018年11月16日、フランスで11月13~16日に開催された第26回国際度量衡総会において、質量の「キログラム」、物質量の「モル」、熱力学温度の「ケルビン」、電流の「アンペア」という基本4単位の定義が改定され、新定義が採択されたと発表した。

1キログラムの定義が変更されたのは、約130年ぶり。これまで「国際キログラム原器」という器物で定義されていたものが、「プランク定数」という物理定数を基にした定義へと変更になる。

長さの「メートル」は、1960年にメートル原器を基準にするのをやめて「1秒の299792458分の1の時間に光が真空中を伝わる工程の長さ」と定義されていた。今回の決定によって、すべての計量単位が原器という器物に頼らなくなったことになる。

「キログラム」の定義は世界中のあらゆる重さの測定に影響するが、キログラム原器は1989年の時点で、約50μgほど重さが変化してしまっていた。わずかな不安定さが問題となり、定義改定に向けて主要各国が最高水準の技術を投入。長期間にわたって検討と議論を進めた結果、「プランク定数hを正確に6.62607015×10-34 Jsと定めることによって設定される」ことになった。

新しい定義は、2019日5月20日から適用される計画。一般の生活には直ちに影響することはないが、メートルを光の速さで定義した際には、微細加工の評価が可能になった。キログラムが新たに定義されたことで、微小質量を扱うナノテクノロジー、バイオテクノロジー、次世代半導体開発、極低温・超高温制御が必要な材料開発などで求められる高精度な測定を実現できるようになるなど、長期的にはさまざまな恩恵がもたらされると期待できると説明している。

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