三菱電機は2018年1月17日、車両後測方の物体を100m程度の遠方から認識できる「電子ミラー向け物体認識技術」を開発したと発表した。接近する物体の早期検出と識別により、車線変更時などの事故防止に貢献できるという。
車両後側方の映像をモニター表示する「電子ミラー」市場は、欧州や日本で認可され、日本国内では2019年6月に販売開始される新車への適用が予定されている。また、交通事故全体の多くを車線変更時の事故が占めることから、後側方映像をドライバーに見せるだけでなく、センシング技術によって危険を認識して注意を促すといった付加機能の実現も期待されている。
同社は今回、視野内の目立つ領域に優先的に注目する人間の習性に着目し、それを模倣した「視覚認知モデル」を開発。これを、同社のコンパクトなAI技術「Maisart」に取り入れることで、物体の検出から識別までを低演算量で実現した。また、従来30m程度だった最大検出距離を100m程度まで拡大。検出精度も14%から81%に向上させた。
今後は、夜間や悪天候、連続するカーブなど多様な走行環境に対応するアルゴリズムへの改良や、時系列情報を活用したさらなる精度向上など、安全性を確保するための取り組みを実施するとしている。