光/音響ハイブリッド水中通信装置の試作機を開発し、実証実験を実施 島津製作所

島津製作所は2024年4月17日、「光/音響ハイブリッド水中通信装置」のプロトタイプ(試作機)を開発したことを発表した。2023年1~2月に防衛装備庁の事業の一環として、水槽および実海面での実証実験を実施している。

実証実験に使用したプロトタイプは、同社製の水中光無線通信装置と、他社製の音響通信装置を組み合わせている。

実験は、防衛装備庁の2022年度の先進技術の橋渡し研究として、「刻々と変化する深度、濁度、水温など様々な条件下で、近・中距離での大容量データ通信では光無線通信装置を使い、外乱光(周囲から侵入する光)や濁りの影響が強い水中や遠距離では音響通信装置に切り替える」という内容で実施した。

水中での通信は従来、ケーブルによる「有線通信」が主流で、一部で音波による「音響無線通信」が利用されていた。有線通信は、陸上と同様のリアルタイム伝送がケーブルでできるが、海流などの抵抗を受け、ROV(遠隔操作型水中ロボット)の活動が制限される。音響無線通信は、AUV(自律型水中ロボット)に搭載されているが、通信速度は数十キロbpsが限界で、大容量データのリアルタイム伝送に課題があった。

国内外のメーカーや研究機関がこれらを解決すべく、容易に高速化できる水中光無線技術を開発してきたが、光源として発光ダイオード(LED)を使う方式が多かった。しかし、同社は、より指向性と応答速度に優れた半導体レーザーを採用した水中光無線通信装置「MC100」と「MC500」を製造、販売している。

同社は今後も、安全保障や海洋資源探査、洋上風力発電の設置と点検、養殖を中心とする漁業などで使える水中無線通信技術を開発していく。

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[SHIMADZU] 「光/音響ハイブリッド水中通信装置」のプロトタイプを開発 防衛装備庁の事業の一環として海洋での実験を実施| 島津製作所

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