東芝、「LiDAR」の測定可能距離を2倍にする計測回路技術を開発

開発したハイブリッド回路

東芝は2018年3月5日、自動運転などで利用される距離情報取得技術「LiDAR」の測定可能距離を、従来の2倍にする計測回路技術を開発したと発表した。

LiDARは、レーザー照射によって離れた物体までの距離情報を3D画像として取得する技術。車の周辺環境を3D画像として把握することができるために、高度な自動運転システムでは不可欠とされる。

より長い距離を測定するためには、強い太陽光の下で遠方からの微弱なレーザーの反射光を検知する必要がある。これにはADC(A/D変換器)回路を使った太陽光などのノイズを小さくするための平均化処理が有効だ。

しかしADC回路では、短距離を高精度に測定する場合に必要な高速処理が難しいという問題があった。また、従来の平均化処理は、複数の異なる物体からレーザ光が反射してくる場合に解像度が劣化し、小さな物体を見落とすという課題があった。

今回開発した技術は、短距離用と長距離用の2つADC回路で構成されたハイブリッド回路だ。これによりADC回路に要求される処理速度を緩和し、長距離測定ができるようになった。従来の2倍、同社によると世界最高となる200mの長距離測定性能を実現した。さらに、各レーザが反射した物体が同じ物かどうかを判別。同じ物体のみを選択して平均化処理を行うことで、より小さな物体の検知が可能になった。

この技術によって、高速道路走行中の車両や障害物の早期検知や、市街地走行中における歩行者の見落としの低減につながるという。

同社では今後、さらに測定距離の延伸と精度向上などを進め、2020年度までの実用化を目指す。

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