ディズニー、ロボットがまるで生きているかのように人間と目を合わせることができるシステムを開発

米Disney Researchは、2020年10月23日、人間とロボットが顔を合わせたときに、ロボットがまるで本物の人間のような目の動きをするシステムを開発したと発表した。この研究は、2020年10月25日からオンデマンド形式で実施されたロボット研究分野の国際会議「IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS)」で発表された。

これまで、ロボットと人間との間での相互凝視についての研究は、技術的な実装に焦点が当てられてきた。

それに対し、今回の研究は、技術的な観点からだけでなく、動きが真に迫っていることとその動きの信ぴょう性が最も重要となるキャラクターアニメーションの観点から、ロボットがまるで生きているのではないかと錯覚するような目の動きでインタラクションを作り出すことを目指している。

今回開発されたシステムは、周囲にいる人間を感知し、目立った行動に基づいて興味を引く人間を特定して、適切な目の動作パターンを選択し、刺激に反応する人間の動きを高度に再現した動作を実行するものだ。研究チームは、注意の習慣化、サッカード(急速な眼球運動)、アクチュエータの動作帯域幅の違いなど、生物系で観察されるような運動行動や注意行動に類似したものを模倣するメカニズムを用いている。

さらに、包摂アーキテクチャー(サブサンプションアーキテクチャ)によって、単純な運動動作を重層的に重ねることでますます複雑な動作を作り出すことが可能になる。呼吸、まばたき、サッカードのような低レベルの単純運動動作を包含することで、周囲の際立った刺激に対してインタラクティブでリアリティーのある反応をすることができる。これにより、人間のように動く「オーディオアニマトロニクス(Audio-Animatronics)」フィギュアが、人間の行動に呼応するように視線を動かすことができるようになった。また、このアーキテクチャは非常に拡張性が高く、ロボットがより自然な動きで見つめるようなさらに複雑な動作を実現させたり対話形式のショーに応用したりできるという。

この研究では、ロボットがまるで生きて反応していると感じられるような、人間をインタラクティブに引き付ける視線システムをどのように構築できるのかを実証している。これは、インタラクティブな運動学的行動様式と感覚運動の反応性を重ねることで、いわゆる「不気味の谷」から登っていこうとする試みであるともいえる。

関連リンク

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る