米ジョージア工科大、金属ナノ粒子を使った紙ベースのスーパーキャパシターを開発

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米ジョージア工科大学のSeung Woo Lee助教授らのグループは2017年10月5日、シンプルに層を重ねるコーティング技術を使い、ウェアラブル機器の電源供給に利用できる紙ベースのフレキシブルなスーパーキャパシターを開発したと発表した。 金属ナノ粒子で紙のセルロース繊維をコーティングしてスーパーキャパシターの電極とし、従来の繊維ベースのものの性能を上回るという。この研究成果は『Nature communications』誌に掲載されている。

スーパーキャパシターは他の二次電池と比較して、より高い電力密度、急速充放電速度、長寿命といった長所を備えている反面、エネルギー密度が低いという課題がある。エネルギー密度改善のため、紙のスーパーキャパシターに様々な導電性材料をコーティングする方法が試みられてきたが、コーティング法での鍵となるのは、紙のスーパーキャパシターに組み込む金属ナノ粒子などの電気化学的性質を左右する導電性材料の量を注意深く制御することだ。Lee教授らは、層ごとに単一層の金ナノ粒子を紙に堆積させる処置を施し、導電材料の量をコントロールした。

具体的には、電気二重層に加えて酸化還元により容量を付与する擬似容量層と金属層とを選択的に交互に組み込むことによって、堆積量を制御し、ナノ粒子の高密度化を達成した。ナノ粒子の高密度化は、キャパシターの高容量化と高エネルギー密度化に寄与する。また、層ごとに堆積させることで紙が多孔質構造を維持することが可能となり、荷電粒子の短い輸送経路を確保し、その性能を高めることができる。

共同執筆者の高麗大学校のYongmin Ko氏は「1層1層ごとに構成した金属ナノ粒子をベースとする紙電極は、金属のような導電性と紙のような機械的性質を併せ持ち、熱処理や機械加工することなく大きな表面積を持ちます。高エネルギーのナノ粒子ベースの紙電極の間に金属ナノ粒子を周期的に挿入することで、エネルギー密度を高めると電力密度が低下するというトレードオフを解決することができます」とその長所を説明する。実験によると、従来の繊維ベースのスーパーキャパシターよりも高い容量を持ち、5000回の曲げサイクル後でも90%の容量を保持することができた。

この新しい組み立て方法によって製造された紙ベースのスーパーキャパシターの最大面積電力密度およびエネルギー密度は、それぞれ15.1mW/平方センチメートルおよび267.3μWh/平方センチメートルで、これまでの紙ベースのものを上回る。これらの値は層の数を増やすことで、さらに改善が期待されるという。

研究チームは、今回開発した技術は、様々な形状のスーパーキャパシターや、コストを下げるために金の代わりに銀や銅を使用したもの、そして紙の代わりにバイオマス由来の炭素材料をベースとするスーパーキャパシターなどといったデバイスに適用できると期待している。

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